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「…まじか、ゆめまるそんなキャラだっけ」
りょうくんが言った。
「あはは、まあ、なんかね、流れだよ流れ」
いつものゆめくんのふわふわした口調で返事をする。
ゆめくんは自分では気づいていないようだが、案外モテるのだ。
ルックスもよく足も速い。その上優しい。
……でも、いろいろ破天荒。
そんなところがまたいいのかなと思う。
ギャップ萌え?とやらだ。
「……」
話すこともなくなり、沈黙が続いていると、ちょうど部長の「集合ー!」という声が聞こえた。
私たちは少し急いで部長のところへ走る。
「はい、じゃー今日はあと1500を1本やって終わりなー」
「「はい!」」
元気のよい返事とともに皆スタート地点へと向かった。
「岩崎、お前はタイム測ってくれ」
部長に頼まれ、「分かりました」とタイマーを受け取った。
皆がスタート地点についたのを確認して合図を出す。
「よーいスタート!」
合図をすると皆一斉に走り出す。
一番速いのは当たり前だが先輩。
でも続いてきているのはりょうくん、てつや、ゆめくんだ。
流石、中学でも陸上をやっていただけあるなぁ。
なんて思っているとてつやがスピードをあげ、りょうくん、先輩を抜かした。
おお!と思ったけど最後まで体力は持つのかな……
そして残りが100mをきったとき、やはりてつやはどんどん抜かされていった。
「先輩4:48!」
「りょうくん4:53!」
「ゆめくん4:56!」
「てつや、6:31」
「ええー!!」
まあ予想通りだ。
私からしたら全然速いほうだけど、城西の陸部だと遅いらしい。
「おい小柳津、お前もっと後のこと考えて走れよ。ただ走りゃあいいってもんじゃねんだよ」
「……はい、さーせん」
「はい、今日の練習終わりなー」
「「お疲れっしたー!」」
皆がバラバラになっていくのを見つつ、私も帰ろうと思い部室へと向かった。
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作者名:らんご | 作成日時:2019年4月26日 21時