大っ嫌い。でも、 (ページ21)

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結局芳永さんは救急車に運ばれて病院へ行った。

命に別状はないみたいだ。

それを聞いて皆の顔が緊張から安堵の表情へ変わり、いつもの笑顔に戻っていた。

そのあとは、皆で屋上で花火を見ようということになり、屋上へ向かっている。

｢よかったー。Aのお陰だげ！ほんっとありがとな！」

｢……うん、私はただ出来ることをしただけだよ？助けたのはてつややん！」

少し胸につっかかるものがあるけど、それを押し殺して精一杯の笑顔で答える。

｢Aはさ、好きな人とかおらんの？」

てつやから急にそんなことを聞かれたのでつい、はぁ！？と答えてしまった。

｢はぁ！？って、そ、そんなに聞いちゃダメだった？」

｢い、いや、別にそんなことはないんだけど……。そ、その……」

｢その？」

｢……うん。い、いることにはいる。けど言わない。」

｢えー！なんでよ！協力してあげるのにぃー！」

もう本当に鈍感すぎ。

昔っからこういうところが嫌だ。

出てきそうな涙をこらえて、話題を変えるためにゆめくんに話しかけようと後ろを向く。

｢…ゆめく……って、あれ？みんないない……」

振り返るとそこに皆はいなくて、私が転びそうになったときに助けてくれた眼鏡で低身長の人がいて目が合った。

｢……あ、転びそうになってた子だ！と、てつや！？」

｢えっ！？ざわくん！？」

｢ちょ、ざわくんって呼ばない！先輩、って呼んで？」

どうやら2人は知り合い…なのかな。

とても仲良さげに話している。

｢あ、紹介する！えっと、俺のバイトの先輩の金澤大紀ことざわくん！」

｢いや逆逆！」

｢で、俺の幼なじみのAです！」

｢無視かよ！……えっと、Aちゃん？よろしくね」

｢ふふ、よろしくお願いしますね」

｢うん、じゃあ、邪魔しちゃ悪いからこの辺で。またね～」

金澤さん？は、何か私たちが付き合っていると勘違いしたらしく、そそくさと帰っていった。

｢ああ、帰っちゃった。A、どうする？」

苦笑いしながら私に問うてつや。

私も私で2人で行こうなんて言えないので、どうしようかと迷っていたところ、てつやがあっ！と叫んだ。

｢やば！あと3分くらいで始まるやん！A！走るげ！」

｢わっ！ちょっ！」

てつやは私の手を取って走り出した。