大っ嫌い。でも、 (ページ17)

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｢A！」

私の名前を呼んでくれたこの声。

昔っから聞いている声だ。

｢っ、！てつや！」

｢てつやー？(笑)あー、あれか、陸上部の！」

不良達はてつやを見下すような口調で言った。

｢悪いけど俺ら今いいところなんだよね。まあ見りゃ分かるか(笑)」

そんな不良達の声を聞いていないのかなんなのか、てつやはずかずかと私のほうへ歩いてくる。

｢んだてめぇ、人の話聞いてんのかよ！」

遂に不良が怒った。

でも、私を押さえているメンバー？はそのままで、私をじろじろ見ていた。

｢てつや！危ないって！」

｢……」

私が呼びかけるも、てつやは私のほうへ歩き続ける。

……これまでに見たことがないくらい恐い顔をして。

遂に私を見下ろせるところに来たてつやは、しゃがみこんで私を押さえつけていた不良を退かす。

あんなに力があったのに、てつやは軽々しく私ん解放してくれた。

でも、てつやは恐い顔のままだ。

｢なにしてくれんだよ！一発お見舞いしてやるよ！」

不良の一人がてつやに拳で飛びかかった。

やばい、

と思ったが、てつやは意図も簡単にその拳を掴んだ。

てつやは優しいから、喧嘩とかしたことないと思うんだけど……。

｢…………てんだよ。」

｢あ？(笑)聞こえねーよ(笑)」

｢幼なじみに、Aに何してくれてんだっつってんだよ！」

てつやが聞いたことないような低い、それでもってどこか優しい声で怒鳴った。

｢何お前(笑)喧嘩売ってるわけ？」

ドンッ、と鈍い音がした。

前を向くと、てつやの頬が赤くなっていた。

鼻血も出ている。

そのあとも何回も、何十回もてつやは殴られていた。

でも決してやり返したりしなかった。

うっ、げほっ、と、見れば制服に血が沢山ついていた。

｢……っ、」

私は震えと涙が止まらなくて、

バタッ、

｢A！」

てつやが私の名前を呼んだのを最後に、意識を手放した。