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｢……」
気まずい。すごく気まずい。ただ廊下を歩いているだけなのに、皆一言も話さない。
いつもなら煩いくらいなのに。
っていうかせめてカップルなんだからてつや喋れよ！
と、心の中で叫びつつてつやがいる後ろに振り向くと、芳永さんがてつやの腕にピタッとくっついて歩いている。
いやこんなベタベタしているんだから話せばいいのに。
やっぱり私達邪魔だったんじゃない？
やっぱりどこかに行ったほうが…。
と考えているとてつやが私の視線に気付いたようで、首を傾げている。
｢Aちゃん、どうしたの？」
芳永さんも気付いたらしい。というかいきなり名前呼びだったことに驚いた。
きっとこういう性格なのだろう。友達が沢山いそうだ。
｢いや、ちょっ、とトイレに行こうかな、、って、」
少しぎこちなかったかな。
｢そういうこと。こっち見てたからなんかついてるのかなって思ったげ。」
てつやは納得したように言って、大きく首を上下させていた。
｢じゃ、じゃあトイレ行ってくるね。」
｢あ、待って！わたしも行くー！」
え、ええ。
正直、芳永さんとは行きたくないっていうか。。
私なんかとは気が合わなさそうだし、気まずい。
でも仕方がないので2人で行くことになった。
｢…ねえA。」
呼び捨て！？びっくりした。。
｢な、なに、？」
｢てっちゃんとは"幼なじみなだけ"なんだよね？」
何故か幼なじみという言葉を強調していた。少し怖い。
｢う、うん。そう、だ、よ」
怖さからなのか分からないが、小さな声になってしまった。
｢そっか。じゃあ別に話さなくてもいいよね？」
｢え？なんで？」
｢なんでって(笑)ただの幼なじみなんでしょ？立場的に彼女のほうが上だし、話さなくたって死にはしねーし。」
だんだん口調が悪くなるのが分かった。
｢私、もう少しで退院するから、そん時まだ仲良くしてたら、」
芳永さんはトイレの前でぴたりと足を止め、私の目の前にきた。
｢ただじゃおかないから。」
そう私の耳元で囁き、ニヤリと笑った。けどその目は笑っていなかった。
｢ふっ…。そういうこと…。潰してやんよ。」
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作者名：らんご | 作成日時：2019年4月26日 21時
