大っ嫌い。でも、 (ページ11)

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｢てっちゃーんっ！」

誰かが後ろから語尾にハートがつくような猫なで声でてつやを呼んだ。

勿論てつやは振り向く訳で、振り向いたてつやはヤバい、みたいな顔をした。

｢てつや、なんで今マネージャー来てんの？呼んだん？」

ゆめくんが小さい声でてつやに問いかけた。

｢いや、、俺呼んでないし…なんで、」

顔を曇らせたてつやがそう呟いた。

ゆめくんとてつやの会話からして、どうやらその人がてつやの彼女さんらしい。

でも、入院していたはず…。確かになんでいるんだろう。

一応陸上部のマネージャーさんなので名前は知っている。

確か、芳永美里亜(よしながみりあ)さん。なかなかいない名前だったので覚えている。

芳永さんは病気なんか嘘のように元気良く走っててつやに飛び付く。

てつやはうわっ、と少しよろついたが、流石陸上部。すぐに立て直した。

｢ちょ、みり。なんで……」

へぇ～、てつやは芳永さんのことみりって呼んでるんだな～といらない情報を覚えた。

何か心がもやもやして、ふいにてつやの顔を見ると無理して笑顔を作っていた。

てつやって本当に芳永さんのこと好きなのかな。

私には関係ないか…。

うちのクラスのお化け屋敷の準備も終わったようで、皆個々に自分のことをしていた。

りょうくん達と目配せをして、ここにいたらてつや達の邪魔になってしまうということで私達はそっとその場から離れた。

いや、離れようとした。

私達が歩き出すと、てつやは"ちょっと待って！"と声をあげた。

振り向くとてつやは、2人は嫌だ、みたいな目をしてこちらを見ていた。

彼女なのに、と思ったが仕方がないので8人で行動することになった。