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蝶々 ページ5

あの日から、ずっと
私だけが色付いてないような気がしている

カラフルな世界に1人、
モノクロな私が動いている気がする

この世にいてはいけないのだと
誰かの声が囁かれる


私の声か兄の声か
誰の声でもないのか


足元を見たって、自分の肌を見たって
灰色のような、黒のような
自分の何もかもが同じ色に見えた


私が踏んでいるひび割れた
灰色と白と黒が混ざったコンクリート

熱が出る

頬をつたる汗と握りしめた湿っぽい手




私は私じゃないのだと私は気付いている


________




眠ってしまった彼女を抱え
静かにベッドに映す


真っ白なシーツが彼女の
髪の毛と同化している


静かな寝息を繰り返す、
彼女の目は赤く腫れていた


多くの事を語らない
何に涙し何に悩んでいるのか


そっと彼女の頬を人差し指でさする
気がつくと触れる指が微かに震えていた

強く触れると音を立てて
崩れ落ちてしまうと悟った


足の裏からカーペットの感触が伝わる
柔らかいベッドに男女の体重が加わり軋む

ベッドの軋む音が彼女の体が
軋む音なのではないかと
有り得ない事に不安になった


「…随分とAには甘いんですね父さん」


部屋のドアが開き人間の気配を捉えた
それは自分のよく知る身近な人間


「…そう思うかい?」


歩み寄る足音は遠慮がちに聞こえた
眠れから起こしてしまわぬようにという
気遣いを添えている


父は自分とは反対側に腰をかけた
親子2人が彼女を挟む形で愛でる


「…彼女は、とてもよく似ている
昔の生徒にね」


「それはお聞きしても良い事、ですか?」


父もまた多くを語らない
生徒の事に無関心で見ていない
生徒という言葉に酷く驚き戸惑った


「…目がよく似ている」


自分の質問を流されたという事は
深入りをしてはいけないという
父の答えだった



父も何を思い誰を思っているのだろう





彼女と父はどこか似ている

蝶々→←蝶々



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設定タグ:暗殺教室 , 復讐 , 浅野学秀   
作品ジャンル:アニメ
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- この小説を読んでボカロの誰かの心臓になれたならがすごく合うと、思います (2018年9月4日 10時) (レス) id: 22105498fb (このIDを非表示/違反報告)
風花 - 久しぶりに見てみたら、続編があってびっくりしました!全部読みました!更新、ずっと待ってます!たまに見に来ます! (2017年3月11日 20時) (レス) id: 28c2de270e (このIDを非表示/違反報告)
フェアリテイル - 続編おめでとうございます!はなさんの作品は今まで全て読ませていただいてます!どこか儚げで、だけどどこか毒をもっている…そんな感じが何時までも心の中に住み着いて離れないんです!更新いつまでも待ってます! (2017年2月2日 1時) (レス) id: bc4dac31df (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - 続編おめでとうございます!はなさんの作品はずっと前から全て読ませて頂いていますが、今回の作品もとても素敵です(*´ ˘ `*)これからも応援しています! (2017年1月23日 23時) (レス) id: 10cd0d5f13 (このIDを非表示/違反報告)
まり - 続編おめでとうございます!今回のも応援してます! (2017年1月19日 17時) (レス) id: 52288c9db5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はな | 作成日時:2017年1月17日 1時

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