赤羽業の慟哭【暗殺教室】3 (ページ5)

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俺と君の逃避行ページ5

今度は誰だろう。Aは振り返ると、体が固まった。許さない逃がさないと言い放った、宮園椿が、息を切らして部屋着のままそこにいた。Aは露骨に嫌な態度をとった。

「Aが出てくって、あの黄色いタコに聞いて
それで…その」

今目の前にいるのは椿だ。私を責めない方の椿だ。

「＿＿＿＿私やっぱ許せないよ、

あんたのこと」

Aは言った。

椿は途端に泣きそうになる。そんな彼女を見て、Aはため息をついた。怒る気分にもなれなかった。

「＿＿＿次に会う時までに、その二重人格と逃げる癖

治しといて」

顔を見ずにそう言うと、椿の顔は明るくなる。

「＿＿＿！…うん

A…私頑張るから…私、頑張るよ

もう絶対、逃げないから」

"宮園椿"の決意は一つになった。

Aは「あっそ」と素っ気なく返事をする。
周りのみんなはクスクスと笑っていた。

全ての別れの挨拶を終わらせて、Aとカルマは殺せんせーに向き合う。

二人は先生の服の中に入ると浮遊感が彼らを襲う。
スピードを増して、怪物と少女達は夜空に溶けて行った。

二人はしっかりと手を繋ぎあっている。

カルマは固く誓った。
もう二度とこの手を離したりしない。

もう、二度と。

孤島に足を下ろす。濡れた砂つぶが素足に
張り付いている。

青く光る海の水面。街の光が一つもない星空は、
この世のものとは思えないほど美しい。

「これはアドバイスブックです」とアコーディオンのような厚い本を自分達に持たせた。

ここでの生活の仕方や、勉強の仕方など、とにかく沢山のことが書かれている。

「＿＿＿＿先生、ごめんね」

殺せんせーの事が世間に知れたら、クラスから二人いなくなったことも晒される。

その理由をきっと周りは彼のせいにするだろう。悪者にしてもいい？というAの言葉はそういう事だった。

先生は何も言わなかった。ただ笑っていた。

＿＿＿＿きっと此処に逃げる事は正解じゃないんだろう

間違えでもない。

私達は間違えてはないんだと思う。

正しくもなければ間違いでもない。

「此処は地震もなければ天候も崩れる事も少ない。
他国からの侵入もありません。

世界で一番安全な場所で、世界で最も孤独な島です。

言うならば。

＿＿此処は、世界で二人だけの場所。

私がここから去った時、君達は

最も孤独で最も安全で、最も自由になれる。」

「＿＿＿はい」