赤羽業の慟哭【暗殺教室】3 (ページ4)

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夜に飛び込んで、夜に逃げようページ4

彼らが向かったのはE組の旧校舎だった。
カルマは屋根を飛び越えながら
クラス全員が何故あの場にいたのか理解した。

Aが、きっと全てを話してしまったのだ。

それを聞いた彼らが、自分達を追っ手から
遠ざけながら守ってくれていたのだ。

「＿＿重いものはみんなで背負おう

天王寺さんの10年はみんなで分けて

みんなで背負おう」

それが、彼らの出した答えだった。

「Aさん＿＿＿カルマ＿＿」

二人を呼んだのは事情を知っていた渚だった。
3人は抱きしめあった。

それは久しぶりとか、そういうものではなく、
もっと重い意味を込めていた。

感謝や、謝罪＿＿＿＿

ごめんね、

ううん、いいよ

大丈夫、わかってる

ごめん

大丈夫。大丈夫。
気休めの言葉でしかないけれど
3人にとってそれは魔法の呪文のようだった。

「殺せんせーが、二人を海外の無人島に
連れて行ってくれるって。」

渚はそう言った。

金を持つ必要なかったな、とカルマは思ったが、
クラスメイトと担任の気遣いに感謝した。

「カルマ＿＿＿守れよ、絶対」

磯貝がカルマの肩を抱く。
カルマははいはい、とそっとその手を離した。

「Aちゃん、これ、服とか食料とか、
いろいろ入ってるから持って行ってね」

女子達はAに大きなバッグを持たせた。
戸惑いながらも彼女は受け取る

「遊びに行くね」

＿＿＿＿友達みたいな会話だな

Aは頭によぎった一瞬の言葉に首を振った。
違う。もう私たちは友達なんだ、と。

「カルマ君、天王寺さん」

低い声の持ち主は烏間先生だった。
彼は二人の元へ歩くと、深くお辞儀をした。

少女を守った少年への敬意と、
重いものを背負った少女を助けられなかった謝罪を
含んでいた。

「＿＿＿＿頑張れよ

後のことをはこちらで何とかする。

天王寺さんのことは何としても公にさせない。」

「＿＿＿はい」

皆が笑顔だった。

なんて悲しくて、美しくて、どうしようもない、
そんな笑顔なんだろう。

逃げなくちゃいけない状況まで追い込まれてしまった少女と少年を責める人間がいたのなら、俺がぶん殴ってやる。

烏間はこの日本に対して憤りを心の中で顕にしていた。

「A、気を付けてね」

「＿＿＿ありがとうございます、ビッチ先生」

彼女が初めてあだ名でイリーナを読んだ。
イリーナは顔をほころばせて頷く。

「＿＿＿A！！」