聞こえないフリをした ページ12
髪を自分で切ったことに
看護師はひどく怒っていた
「大切にしなきゃダメでしょ
せっかく綺麗な髪なんだから！」
そう言いながら
長さのバラバラな部分を整えていく
「…」
私は私を大切にしない
全てはあの男を殺すため
命を踏みにじり
嘲笑うことができるのなら
この髪だって、この身だって
悪魔に捧げてやる
ボブの髪型になった私は
ただあの男をどう殺すか考えていた
お兄ちゃんの記憶の中のあの男は
「浅野先生はね、めちゃくちゃ強いんだよ！
空手とか合気道とかバスケとか…」
「とにかく完璧超人なんだ！」
完璧超人
が、相手なら
今の私じゃ到底勝てない
この小さな手のひらで
ナイフすら握れないだろう
「…」
ふと隣を見ると
お婆さんがベットで眠っていた
その横の棚には一冊の本が
乱暴に置かれている
興味本位で引っ張り出し
本を開いた
お兄ちゃんに教えてもらっていたおかげで
そこそこ勉強はできた
殺し屋の話だった
人を殺すことを職業とした主人公は、
ある日依頼を受ける
そのターゲットは完璧超人だった
主人公の実力では到底かなわないため
ターゲットを殺すため
自分もターゲットと同じ完璧超人になる
という成長物語
「…その本、気に入ったのかい」
しゃがれた声に驚き、顔を上げると
老婆がこちらを見ていた
「…あげるよ、その本
売れない作家が書いたものだから
面白くもなかったよ」
老婆はそういうと
もう一度眠りについた
ページをパラパラとめくる
確かに、この本に引き込まれるものはない
でも
ヒントは得ることができた
ターゲットに相応しい殺し屋であれ
アサノセンセイが完璧超人なら
私も完璧超人になればいい
強いのなら
もっともっと強くなって殺せばいい
何年かかろうと
肉体が死んでしまおうと
必ず殺す
家族のために
いや
私のために
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ふじか(プロフ) - 改行が多くて読み辛いです。 (2022年5月4日 14時) (
レス) @page9 id: ae671ca5ff (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - はなさん» おじいちゃん亡くした時のことを思い出して泣いてしまいました…夢主ちゃんと同じ思いをして小学校の頃を鮮明に浮かび上がってきて辛いです。続編全部読ませて頂きますね(><) (2019年7月28日 16時) (レス) id: 40552a2b29 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - キリさん» キリさん、ありがとうございます！泣 頑張ります！ (2017年11月2日 20時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
キリ(プロフ) - 最初から感動してしまいました。復讐の話はあまり好きではないけど結構面白いです。頑張ってください！ (2017年11月2日 20時) (レス) id: 2e9f7f3ae9 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 黒音さん» 浅野先生を恨むのはちょっと違いますよね。ネタバレしてしまいますが、そこの謎は最終章らへんで解き明かされます！ (2017年7月16日 12時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はな | 作成日時：2015年9月10日 22時
