幸福のレシート【うらたぬき】

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ドリンクを持って駆け寄るとまるでわかっていたかのようにお！きたきた！と笑顔で迎えられた。


(あれれ、)





驚いてもらおうと思ったのになあ、なんかわかってたみたい。これが大人の余裕ってやつですか。子ども悔しい。






思わず口を尖らせてちらりと彼のほうに目を向けた。

そこにはドリンクを見つめ、アーモンドの目をキラキラさせているうらたさんが。


「すげー！」とか「おいしそう！」とか騒いでいる。子供っていうかあんたは女子か。





(なんだ、)


めちゃくちゃ大人ってわけでもないんだ。ちょっと安心。なんで安心したのかはよくわかんないけどとりあえず安心。








「お！これ！うまくなった！？」



人差し指の先はわたしの描いたたぬき。なかなかうまく描けていて自分でも結構いいと思っていたのだ。





「ほんとですか！？嬉しいです！」


思わず顔がほころんだ。ゆるゆるのほっぺは収まりそうにない。思わずわたしの目もキラキラ。







「お2人さん、そこでやられると困るんで席座ってきたら。」



振り向くと何故かメロンのフラペチーノを持った蒼くんが。思わずわあ！と声をあげた。





「でもわたしバイト中なんですけど。」


「そんなの大丈夫、店長いないしサボってもバレないって」





親指を立ててそういうとほらほら！とわたしに持っていたフラッペを手に握らせ、背中を押す。
蒼くんの顔はよく見えない。


わたしたちに背を向け、あとはごゆっくり〜♪と手をひらひらさせながらレジの方へと歩いていった。






「…蒼くんってあんなにイケメンだったんですね」


「いや、あいつは元からカッコイイよ。」




俺頑張らなきゃ殴られそうとうらたさんが呟いたのが聞こえたが、なんのことかはわからなかった。

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