幸福のレシート【うらたぬき】

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"スパイ"とは名ばかりに大学の近くのカフェへ。というか結構来たことあるわ、ここ。



妙に気落ちしているわたしに気遣っているのか、はたまた彼の気まぐれなのか。

どっちみちよくわからないけれど気が楽になった気がした。






(こういうのは慣れてそうだなー。)



もはやわたしの心の中では、
優しい＜さすが慣れてる
という不等式がすでに成り立っている。


ちなみに、この式の証明は蒼くんと初対面の時に終わっている。





簡単に言えば初対面の時からチャラかったんだけど。まあこういう気遣いはどちらにせよありがたい。







わたしたち2人は店内の2人席へ案内された。





のはいいものの。

席に近づくにつれ、どこか記憶をかすめるうしろ姿が。





店員さんがこちらの席でどうぞと言うと、その人はこちらに顔を向けた。きっと無意識だろう。



が、ここで問題がひとつ。









(やっばい、見たことあるのに思い出せない、、、)←







いやいやいやいや！！！！！





絶対見たことあるよこの人！！！なんだったか忘れたけど絶対見たことあるよ！！！！



見たことある自信はあったので彼の顔を凝視。おかしいな、ちっとも思い出せない。






そんなわたしをよそに相手側は気がついてしまったようで、


「あ！あの時の！先日はどうもこんにちは！！」









うわああああああ思い出せないいいいいい


もうこれはあれだ。最終手段をとろう。






「あの〜、大変恐縮なんですけど、」









「お名前、いいでしょうか、、、」



「え゛。」






案の定ショックそうだった。ごめんなさい、そんなつもりはなかったんです。

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