幸福のレシート【うらたぬき】

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「えー、このように、、、」






ありふれた言葉が講堂に響いている。高校は美術が得意だったが、大学は至って普通。


そして残念ながらこの講義を担当するおじいちゃん教授の声がとてつもなく眠い。ふわふわした感じ。まあキレがない。








(あーあ、暇じゃないけど暇。)




ノートにとらなくちゃいけないのはたくさんあるのにとる気がしない。これがやる気がないってことかな。









かわりにノートになんとなく書き始めていたのは昨日たぬきさん、もとい浦田さんに描いたたぬき。




たぬきを自分の頭の中で思い浮かべて描いていたつもりだったんだけど、






(これ、どっちかっていうと浦田さんに似てるかも？)








いつの間にかたぬきよりも浦田さんを思い浮かべてたらしく、紙の上には彼と思しき人の姿。






(そういえば、)






彼はいつ、あのレシートを持って来てくれるのだろうか。何を頼んでくれるんだろう。



彼に次に何を描こう、何を伝えようか。








バイトは前から嫌いじゃない。
むしろおしゃれな感じして羨ましがられるのが嬉しい((




実際一緒に働いてる人はなかなかおしゃれな人が多い。店長も星野ちゃんも。

蒼くんも見た目だけならおしゃれさんだ。








みんなお気に入りのお客さんとか覚えてるお客さんとかはいるけど、









でもこんなに次のバイトが楽しみで、









こんなに、





(まさかこんなに特定のお客さんに執着する日が来る、だなんて。)

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