守んなくていいから ５

［３６−４］ ページ27

渡辺side









「じゃあお疲れ様でした〜！」



3本撮りだったYouTube撮影が終わり、
今日の見学時間も終了。


この後はラウールと俺がそのまま帰るけど
他のみんなも局に移動するから
荷物を置いていた部屋に戻って行く。



「なんか翔太居るのに不思議な感覚だったわぁ〜」


「分かる。違和感が凄かった」


「翔太は？ どーだった？」



先に準備して来たから椅子に座って待つ俺へ
支度をしながら阿部ちゃんが尋ねる。


ちなみに今のこの感想はもう既に
1本目終わりと2本目終わりの休憩中に
何回か聞いてるものだ。

特に1本目終わりなんか恐ろしいほど質問攻めで、
面倒くさくて全部マネージャーに丸投げしたくらい。



だからか今日の感想をあんまりみんなに言えてなくて
仕方なく自分もなるべく素直に答えることにした。



「楽しかったよ。ほんと全部新鮮だった」


「そっか。なら良かったかな？」


「うん。あと、SnowManって良いなって思った」


「ふはっ！ ファンじゃん。笑」



思わずといったように吹き出した目黒の肩に
かるーくパンチして誤魔化しておく。



それから一つ息をついて。



「……でもなんか、」



楽しそうなみんなの姿に、
俺の帰りたい場所を知れた分だけ。

当たり前のようだったあの空間から
自分だけが弾かれたあの感覚に少しだけ……



「……寂しかったかも」


「……」


「なんか、羨ましいなーみたいな。そういう感じ」



「上手く言えないけど」って
からかわれないように先に笑ってやれば
固まってたみんなが何故か嬉しそうな顔をしていく。



そして近くにいたふっかが
わしゃわしゃと俺の頭を撫でてきて。



「ちょっ、なに？」


「いーや？ めっちゃ嬉しくなっちゃって」


「もぉ〜しょっぴー好き！」


「は、うわっ、重い！」


「んー好き好き！」



犬のように康二から抱きつかれて助けを求めても
ケラケラ笑って楽しそうに見てるメンバー。


珍しく俺が素直に言ったからなのか、
妙に噛み締めているその顔に少し小っ恥ずかしい。



「あーもう！ 離せ！ 早く用意しろ！」


「いやや〜！ 今はしょっぴーがええ！」


「やだ！」


「シンプルな拒否！！」


「しょっぴー！ 今日俺と一緒の車で帰ろ〜！」



いつの間にか用意し終えたラウールが
康二を剥がして俺の隣へぽすんと座る。

それへ康二も「らう〜！」なんて言って
応戦しようとするからふわりと数年前の光景を
思い出してくすりと笑ってしまった。

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