［１３−２］ ページ6
渡辺side
突然後ろから体を引っ張られて
近くの部屋へ連れ込まれた。
あまりにいきなりのことに驚いて
後ろへ振り返れば戸日野さんの姿。
思わず「なんで」と声を零せば
ドンッと肩を押されてテーブルにぶつかった。
「っ、なに、」
「さっき。俺の話してましたよね」
「え、？」
「とぼけないでよ。俺の話してたじゃん」
「ぐッ、！」
淡々と話しながら戸日野さんが無表情のまま
俺の脇腹に蹴りを入れる。
その衝撃にお腹を押さえて崩れ落ちれば
気にすることもなく顔を上げさせられて。
「ね、あの日自分が何言ったか忘れちゃった？」
「ち、が……」
「自分で言ったんだよ？
なのに今更告げ口とか、ちょっと無いでしょ」
「ぅ゛、あっ！」
尻もちをついた俺を逃がさないように
足を踏みつけて近づく戸日野さん。
それは足首へ容赦なく体重が掛かってきて、
サポーターを付けていてもなお激痛が走る。
思わず声を出して体を捩れば
また感情のない拳が鳩尾に入った。
「っ、ゲホッ、は、ッ、ゴホッ！」
荒れている胃に強い痛みが走って、
息が出来なくなる。
身体中には冷や汗が大量に流れ始め、
血流が驚くほどの速さで巡りだした。
「ほら。立って。ちょっと話しましょ」
「……ぐ、っ、ぁ、」
咳き込む俺を引っ張りあげて
椅子に座らされる。
バッと目が合った戸日野さんは俺を殴って
多少なりとも気持ちが落ち着いたのか
話を聞いてくれる様子になった。
だから俺もそこを逃さぬように
首を振って戸日野さんの予想を否定する。
「さっ、き、は……名前が、
っ、たまたま出ただけです……」
「たまたま？」
「っ……同じメンバーが、一緒に仕事したって、
それで、戸日野さんの名前が出て……」
少しでも気に障らないように
言葉を慎重に選んで必死に弁明した。
こういう時は変な嘘は付かずに
本当のことを言うべきなのはここ数日で学んでる。
最初の方はそれこそメンバーの名前を出すだけで
殴られていたし。ちゃんと学んでる。
だからなるべく戸日野さんに
俺の周りの人々の気配を教えないようにして。
「ほんと、それだけなんです……」
「……」
目を見て、最後までちゃんと話をする。
すると戸日野さんはしばらく黙ったあと、
深く傷ついたような顔をして、頭を下げてきた。
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つらら(プロフ) - わたあめのサブさん» わたあめのサブさん、２のフラグの件ではありがとうございました！ そしてコメントありがとうございます！ 私も安心して限界を書いているのでそう言ってもらって嬉しいです。笑 この先はまた一段と目まぐるしく地獄が訪れますので是非ともよろしくお願いします！笑 (2021年4月22日 10時) (
レス) id: d8343dd607 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめのサブ(プロフ) - 初めてのコメント失礼致します＾＾結末が約束されているので、どんどんボロボロになっていく渡辺さんを楽しく安心して見ていられます。笑 まだまだ展開があるのかな？ワクワクしながら読ませて頂きますね＾＾ (2021年4月17日 0時) (レス) id: 9660734c9a (このIDを非表示/違反報告)
つらら(プロフ) - ぬんさん» ぬんさん、コメントありがとうございます！ そしてとんでもなく嬉しいお言葉まで！ ぬんさんのご期待に添えるよう、この先も頑張りますので引き続き、物語の展開をお楽しみにして頂けたら幸いです！ (2021年4月10日 13時) (レス) id: d8343dd607 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - すごく面白いです！今まで見たことのない作風で、結末めっちゃ気になります！更新頑張ってください！ (2021年4月6日 1時) (レス) id: 86eb208196 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つらら
| 作成日時：2021年3月30日 0時
