［２１−６］ ページ48
渡辺side
「翔太！！！」
「っ、ぇ」
踏み込んだ直後に聞こえた名前。
それは……小さい頃から、
何度も何度も聞いてきた声だった。
その声は自分を取り戻すように
俺の思考を我に返らせる。
そして無意識のまま下を見れば
肩で呼吸をする涼太の姿が居て。
更にすぐあとには他のメンバーも駆けつけ、
「見つけた」と安心したように声を零していた。
そんな、みんなの姿を見た時。
どうしてか急に胸がギュッと苦しくなって、
口元が勝手に震え出した。
次第にそれは熱を帯びて
視界がどんどん滲んでいく。
「み、んな……」
なんとか音に出した言葉は
掠れて、震えてしまっていた。
けど言葉にしたからこそ
実感したその気持ちに止めることなんて出来なくて、
自然と上がろうとしていた足を戻す。
(……みんなが、居る)
探してくれてたんだ。俺のことを。
散々迷惑かけたのに。
それでもまだ必死になって探してくれていた。
そして見つけてくれた。
俺のことを……まだ、待っててくれた。
まだ見ていてくれたんだ。
こんな酷くて最低な俺を。
「っ、……っ、はぁっ、」
気付けば俺は、降りる階段へと歩いていた。
(……ね。みんな)
本当に、ごめん。
ごめんなさい。
俺、みんなに散々酷いことした。
自分勝手に振舞って、凄い傷つけた。
……でも、
「……っ、ぅっ、！」
でもね。
(……本当は、)
もう……
終わらせたかった。
抜け出したかった。こんな状況から。
もう嫌だって……
本当は、ずっと思ってた。
こんなの嫌だ。
間違ってるって。
ずっと……ずっと分かってた。
「ふ、っぅ……っ、！」
……ずっと痛かったし、
ずっと苦しかった。
ずっと怖くて
ずっと辛かった。
何回も何回もおかしいって思ってた。
だけど怖くて。
どうしてもその怖さから逃げたくて。
ずっと自分にも嘘ついてた。
だけど、
本当はもう嫌なの。
もう終わりたくて、でも終われなくて
どうしていいのか分かんないの。
こんなこと今更何言ってんだって思うけど。
散々突き放して、裏切っておいて
都合いい奴だって思うかもしれないけど……
でもお願い。
もう……終わらせてほしい……
もう止めたいこんな関係。
もう、嫌だ。
ねぇ……みんな、お願い……
「も、っ、う……っ」
(っ……たすけてっ……)
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つらら(プロフ) - わたあめのサブさん» わたあめのサブさん、２のフラグの件ではありがとうございました！ そしてコメントありがとうございます！ 私も安心して限界を書いているのでそう言ってもらって嬉しいです。笑 この先はまた一段と目まぐるしく地獄が訪れますので是非ともよろしくお願いします！笑 (2021年4月22日 10時) (
レス) id: d8343dd607 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめのサブ(プロフ) - 初めてのコメント失礼致します＾＾結末が約束されているので、どんどんボロボロになっていく渡辺さんを楽しく安心して見ていられます。笑 まだまだ展開があるのかな？ワクワクしながら読ませて頂きますね＾＾ (2021年4月17日 0時) (レス) id: 9660734c9a (このIDを非表示/違反報告)
つらら(プロフ) - ぬんさん» ぬんさん、コメントありがとうございます！ そしてとんでもなく嬉しいお言葉まで！ ぬんさんのご期待に添えるよう、この先も頑張りますので引き続き、物語の展開をお楽しみにして頂けたら幸いです！ (2021年4月10日 13時) (レス) id: d8343dd607 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - すごく面白いです！今まで見たことのない作風で、結末めっちゃ気になります！更新頑張ってください！ (2021年4月6日 1時) (レス) id: 86eb208196 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つらら
| 作成日時：2021年3月30日 0時
