［２１−３］ ページ45
渡辺side
「っあ゛……っ、うッ！」
強弱をつけて首を絞めてくる手に
呼吸を制限されながら痛みを受け止める。
元々、ボロボロだった体はまた更に
新しいアザや生傷が増えてしまった。
見れはしないものの
口の中や頬が腫れてしまっている自分の顔も
決して見せられるもんじゃないだろう。
なのに俺は終わりの見えない戸日野さんからの暴力に
ロクな抵抗も出来ずただ無力に受け止めているだけ。
「はぁっ、っくそ！！」
戸日野さんの怒号が鼓膜を揺らす。
けど、これもきっと
また落ち着いてくれるはずだから。
いつもみたいに、
落ち着きさえすればいつも通りの彼になるから。
だから……
(っ、大丈夫……大丈夫……)
なんて。
もはやここまできたら
それは俺の最後の望みだったのかもしれない。
だって、今までもこうしてきたから。
今までだってこうだったから。
だからまた戸日野さんが落ち着いて
話せるようになったら、ちゃんと誤解を解きたくて。
多分、謝らせてしまうことになるけど。
本当ならこうなる前に止めたいけど
今の俺には出来ないから。
だからこれはそんなんじゃない。
まだ大丈夫。大丈夫なんだ。
(だってほら。そろそろ戸日野さんも____)
「絶対に……許さねぇから」
「──っ……」
俺の思考を突き刺すように
投げ捨てて言った戸日野さんの言葉。
それは今までとは全く違うものだった。
優しさなどない、
怒りに満ちた中傷。
バタン！
その後に響くドアの閉まる音。
それは望んでいたような光景では全くなく、
俺1人の荒れた呼吸音だけが部屋に浮き上がる。
「……、っ、」
(……ああ……)
そりゃ……そう、だよな……
俺……
戸日野さんのこと裏切ったんだ。
なのに、
いつも通りなんか……くるわけないじゃん。
「っ、」
(何考えてんだよ。俺……)
気付いていなかった状況に
唖然としていた心が虚しく締め付ける。
しかしいくら冷静な自分が言ったところで
深く傷ついた心は全然癒えてくれなくて。
「はぁっ、」
……初めて差し伸べてくれなかった戸日野さんの手。
それが。
例えさっきまで
俺を苦しめた元凶だとしても……
今はその手に途方もないほど、
自分の心が強く求めてしまっていた。
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つらら(プロフ) - わたあめのサブさん» わたあめのサブさん、２のフラグの件ではありがとうございました！ そしてコメントありがとうございます！ 私も安心して限界を書いているのでそう言ってもらって嬉しいです。笑 この先はまた一段と目まぐるしく地獄が訪れますので是非ともよろしくお願いします！笑 (2021年4月22日 10時) (
レス) id: d8343dd607 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめのサブ(プロフ) - 初めてのコメント失礼致します＾＾結末が約束されているので、どんどんボロボロになっていく渡辺さんを楽しく安心して見ていられます。笑 まだまだ展開があるのかな？ワクワクしながら読ませて頂きますね＾＾ (2021年4月17日 0時) (レス) id: 9660734c9a (このIDを非表示/違反報告)
つらら(プロフ) - ぬんさん» ぬんさん、コメントありがとうございます！ そしてとんでもなく嬉しいお言葉まで！ ぬんさんのご期待に添えるよう、この先も頑張りますので引き続き、物語の展開をお楽しみにして頂けたら幸いです！ (2021年4月10日 13時) (レス) id: d8343dd607 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - すごく面白いです！今まで見たことのない作風で、結末めっちゃ気になります！更新頑張ってください！ (2021年4月6日 1時) (レス) id: 86eb208196 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つらら
| 作成日時：2021年3月30日 0時
