守んなくていいから ３

［１７−２］ ページ24

渡辺side









「俺、ごめ……」


「大丈夫。明日のためだから」


「そうそう。今日はしっかり休もう」



帰る支度さえ出来ない俺のために
テキパキみんなが動き出してくれる。

それからまた連絡がきたらしくふっかが
あと40分ほどでマネージャーが着くと教えてくれた。


そして時間になるまでは
また以前行ったことのある医務室で
休むことになって。



「翔太、ちょっと揺れるよ」


「っ、大丈夫、歩けるよ」


「ダメだって。
抱えるから、腕回してて」


「……ごめん……」



アザや傷に痛みを抱えている体には
なるべく衝撃を与えたくなくて遠ざけたけれど
流石に目の前がモノクロになってきて抵抗を止める。

前も同じ理由で駄々をこねた記憶があるけれど
今じゃその何倍も症状や状態は酷くて。


結果、痛みと気持ち悪さ、
どちらを我慢するかしかなかった。



ガチャ……



「翔太、下ろすよ」


「ん……」



照に横抱きされて目をつぶったまま揺すられていると
いつの間にか医務室に着いていた。

慎重にベッドへ寝かされて、
後ろから付いてきたみんなにお世話をされながら
静かに照へお礼を言って。



「とりあえず寝とこう」


「ん……ごめん……」



心配させて迷惑をかけたことが情けなくて、
隠すように目元に腕を置いた。

更にグッと口をキツく結べば、
ポンっと照が頭を撫でてくれて。



気にするな。
って言ってくれてんのかな。



なんにせよそのさり気なさが温かくて、
こくんと小さく頷いた俺は
それを最後に自然と意識を眠りに預けた。

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