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9.競走 ページ9
翌日…
「行ってきます。」
誰もいない部屋に挨拶を告げる。
勿論返事が返ってくる訳でもない。
癖みたいなもんだ。
道を歩いていると、見覚えのある緑頭。
「真太郎〜！」
呼び止めると振り返る。
手を振って彼に近づく。
「Aか。」
「おはよ。昨日はごめんね、先行っちゃって。」
真太郎からは別に、と素っ気ない返事が返ってきたけど、それが冷たいとは思わない。
昨日1日いただけだけど、真太郎のことは全部分かっちゃった気分だ。
「……真太郎。今日の1時間目なんだったっけ。」
「…………自分で思い出すのだよ。」
そう言って走り出す真太郎。
「あっ、ちょ待って真太郎！！」
ドンドン僕より前に進んでいく。
僕だって思いっきり走ってるけど、全然追い付かない。
「ｯクッソ、」
ゼェハァ言いながら走って走って、結局追いつけないまま学校についてしまった。
その頃には真太郎の姿はもう見えなくなっていた。
廊下を走り、階段を2段飛ばしで登って教室に行く。
ドアを勢いよく開けると、クラス中の全員の視線が僕に刺さる。
「ﾊｧおいｯ、こら、真太郎ｯ」
真太郎は準備も終わらせて呑気に机に座っている。
「お前ｯ身長差考えて走れよ、！！」
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作者名：花吹雪、 | 作成日時：2018年10月23日 21時
