#9 本当の夢 ページ9
ー貴方sideー
今日見た夢を、綴ろうと思う
これはまだ、俺が小さかった頃の夢だった
『お父さん、お母さん！』
｢どうした、A？｣
｢何かあったの？｣
小さい頃の俺は泣き虫で
『このこがね……オオカミにおそわれて……でもたすけたんだけど……ｯ』
｢怪我してるわね……お母さんに貸して？｣
｢よく頑張ったな。頑張った頑張った｣
そして……優しかったそうだ
今お母さんと慕う人は、本当のお母さんではない
あの日は……"蝉がうるさかった"
今はもう、はっきりと覚えていない
ただ赤かったのだけは覚えている
｢やめて！！この子だけは……｣
お母さんの悲鳴にも似た叫び声と
｢出ていけ！ここにお前らの望む金はない！！｣
お父さんの怒鳴り声……そして
｢この世界の平和は、俺が守る！｣
テレビのヒーローの声
母さんに抱きしめられ、時々生暖かい何かが頬に飛び
それでも俺は、何を思うこともなく、ただ呆然としていた
気付いた頃には辺り一面真っ赤で
母さんも父さんも倒れ込んでいて
母さんの重みで、呆然としていた俺も倒れていた
｢どうします、こいつ｣
｢死んでんだろ、ほっとけ｣
｢てか、本当になんもねーなー｣
俺の見る先はただ一つ
｢覚悟しろ、怪人！｣
テレビの中の赤いヒーロー
怖くて本当は叫びたかった
それでも声は出なくて
いつの間にかアイツらは消えていた
ヒーローは言った
｢______________________________｣
言ったことは覚えていない
いつもここで目が覚めるから
でも……
"一番好きな言葉"で"一番嫌いな言葉"だったのは、今でも覚えている
その言葉が父さんの言った言葉に似ていて、確か俺がヒーローになった理由でもあった
最近、こんな感じの夢を何回も見てしまう
そして目覚める場面も全く同じ
もちろんいい気はしない
むしろその逆、虫酸が走る
『……』
そして俺は拾われた
今の孤児院に、兄貴と住んで
まだ小さかった俺だから、母さんたちは知らないことを望んでいるのだろう
あまりにも残酷で、あまりにも悲哀に満ちていたから
ある日、突然その夢を見てしまった俺
霞のように思い出したからあまり実感はないが
……本当にあった、俺の話
そして今
何回目かも分からない
ここに綴った
俺の過去、かつ夢
_______________"思い出したくない"
『俺ね、ヒーローになりたいんだ！』
｢ヒーロー？｣
『うん！』
｢いいか、A。ヒーローはな_______________｣
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ロト - めっちゃタイプの感じです！！！更新待ってます (11月5日 17時) (
レス) @page20 id: 36a3bdf1ac (このIDを非表示/違反報告)
りおん(プロフ) - 男主なのに感情描写が繊細で、結構…自分だったらどうかなって考えちゃって。胸がいっぱいになるような作品で一目惚れです…供給ありがとうございます……。 (10月26日 8時) (レス) @page20 id: b7dec916ad (このIDを非表示/違反報告)
はなまるさんかく(プロフ) - ぽさん» ぽさん、コメントありがとうございます。注目ポイントをピンポイントで突かれて驚いております。ぜひぜひご期待頂ければ！更新、励んでいきます😌🙏 (10月22日 17時) (レス) id: 6d68557c5e (このIDを非表示/違反報告)
ぽ - この物語からは儚さを感じます…、今は夢主さんの気持ちが深海のようにミステリアスで、闇を抱えているような感じですが、…ここからどう心情が変化するか見どころですね。更新頑張ってください、お身体に気をつけて。 (10月22日 16時) (レス) @page17 id: cb2f978ff8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなまるさんかく | 作成日時：2023年10月21日 20時
