見当違い ページ28
僕は何を期待していたんだろう？
役に立てるかもなんて
考えなければ良かった
気付けば僕は
総統室から飛び出していた
城からも、離れた村からも
衰えたはずの体力は
なぜか、減ることを知らない
ずっと、ずっと、走っている
森も抜け
川も抜け
とにかく今は
誰にも会いたくない
『(バカだなぁ、もう)』
昔から、分かっていたことだろう
なんで勘違いしてしまったんだろう
どこから道を外したんだ
『うっ、』
石につまずいて
ようやく体力の限界を感じる
背伸びしたところで
モブはモブだ
脇役は脇役だ
『なにが、僕も作ってるだよ。
なんの役にも立っていないじゃないか』
自嘲気味に笑う僕の頬を
どうしてか分からない涙が伝う
どうして泣くんだよ
分かっていただろう
分かっていただろう
だかや泣きやめ、泣き止んでくれ
頼むから、
『夢でもいいから、まだ見ていたかったよ……』
―――
髪から雨が滴り落ちる
涙かも雨粒かも分からない
分からなくていい
「グルさん、そろそろ引こう。
暗くなってきたし、捜索は無理や」
トントンが手を引いたが
グルッペンはそこを動かない
「アイツは暗くなっても外にいるんだろう？
帰りたいなら帰ればいい」
トントンの手を振りほどいて
グルッペンは奥へ奥へと突き進む
「グルッペン！！」
怒号がこだました
「っ……帰ろう。」
泣いているのか
濡れているだけなのか
誰も分からない
身勝手すぎるワガママは
いつもの事だと自覚していたが
今回ばかりは嫌気が差してきた
一体俺は何をしているんだろう
「A……」
伝わらない問いかけに
もちろん、彼は答えない
グルッペンと呼んで欲しい
俺はただ
君に笑ってほしかっただけなのに
「また明日、探そうな」
グルッペンは頷くことも
首を横に振ることもせず
静かにトントンについて行った
外は雨が降っている
風も冷たい
こんな寒い日に
たった一人で？
「っ、やっぱり帰れへん。ごめんトントン！」
グルッペンは駆け出した
見つけたらまず
ぎゅうっと抱きしめてやりたい
上着を着せて、ごめんと謝りたい
だから頼む、無事でいてくれ
トントンの制止も聞かずに
グルッペンは今度こそ
森の奥へ奥へと進んで行った
反対側かもしれない
もしかしたら、まだ国にいるのかも
不確かな考えがよぎるが
彼の足を止めるものは
誰もいない
続く
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あーちゃん(プロフ) - この2人はくっつけ、ぱぴえんへ！！！！、 (2月10日 20時) (
レス) id: 633f304773 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - めちゃくちゃ素敵な作品に出会えました。更新楽しみにしてます。 (12月15日 2時) (レス) id: 6bd7f9d4e2 (このIDを非表示/違反報告)
はなまるさんかく(プロフ) - りとさん» りとさん、コメントありがとうございます。てえてえでしょ。めちゃくちゃ頑張って執筆してます！これからの展開にドキドキハラハラしていただけたら嬉しいです！ (10月22日 17時) (レス) id: 6d68557c5e (このIDを非表示/違反報告)
はなまるさんかく(プロフ) - 牛タンタレさん» 牛タンタレさん、コメントありがとうございます。慣れない恋愛に苦戦してますが、楽しんでいただけているようで幸いです！更新、励みます！😌🙏 (10月22日 17時) (レス) @page27 id: 6d68557c5e (このIDを非表示/違反報告)
りと - ッカァ〜〜〜〜〜〜！！！てぇてぇなｧオイ！！！！かわいいいいんん！！思春期の高校生か！？！？イイゾもっとやれgr！！夢主君も行くんだ！！！！うわあぉああおあぁえ！！！！(大興奮) (10月20日 22時) (レス) @page25 id: ffe5a6a019 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなまるさんかく | 作成日時：2023年10月16日 21時
