8話 ページ9
sideデーモン
デーモン｢飛べば？｣
A『…』
泣きそう。
A『…そうね、最初から諦めたらダメだよね……』
教会のある崖から飛び降りた。
落ちてる身体。
魔法も杖も使わない。
【A『…私ね…飛べないの。』】
ホントかウソか知らない。
自分が1番嫌いな大きな翼を広げ、真っ逆さまに降りる。
デーモン｢ちゃんと言ってよ…｣
A『…デーモン…』
デーモン｢空飛びたいならボクが連れてってあげる。｣
Aの翼になれるなら、この嫌いな大きな翼は少しだけ好きになりそうだった。
A『…デーモンは優しいね。』
｢優しい｣なんて生れて初めて言われた。
ぎゅっとボクを抱きしめる。
A『…重くない？』
デーモン｢こう見えてボク、力持ちだよ。｣
A『うん。意外。』
笑った顔は好き。
そんな事があってからよく会うようになった。
A『デーモン。』
デーモン｢ボクなんかと居て楽しい？｣
怖いけど聞いてみた。
A『デーモンは楽しい？』
まさか聞き返されるとは…
デーモン｢…ま、まあ…暇つぶしぐらい…｣
なんでボクって素直になれないんだろ。
A『私はデーモンと居る時間は楽しいよ。』
なんか含みのある言い方…
｢俺！Aに告る！｣
｢お！マジ！？｣
｢…でもアイツ、最近デーモンと居るんだろ？｣
｢弱みでも握られてるのかな？｣
｢カワイソー｣
A『デーモン。』
デーモン｢…｣
いつも通りだ。
｢A！｣
あ、さっきの。
｢あ、あ、悪魔!!｣
ああ…この反応久しぶり。
｢弱みでも握られてるの？｣
A『…デーモン、行こ。』
ボクの腕を握る。
デーモン｢うん。｣
そこから見るからにAへのイジメは増えた。
それでもAはボクと居た。
デーモン｢…イジメられてるの？｣
A『幼稚な人達からね。』
デーモン｢…｣
A『そんなのどうでもいい。それより、今日、古書見に行きたい。』
本当に何も感じてないように笑う。
デーモン｢何かあったら飛んで迎えに行く。｣
A『嬉しい。ありがとう。』
ボクに微笑む。
A『本当にすっ飛んできた。』
デーモン｢テメェら惨い死に方してぇか。｣
ビビって逃げた。
A『やっぱりデーモンは優しいね。』
そう言って笑う。
ああ…
デーモン｢すき。｣
えっ、あ…
A『変わったタイミングだな。』
ボクだって本当はちゃんと！
A『私も同じだがな。』
はぁー！？！？
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作者名：ペテン師 | 作成日時：2019年3月6日 3時
