155 ページ8
・
こっそり、両親の寝てしまった家に帰ってきた私たち
紫耀がドアをそっと開けて、静かに靴を脱ぐ
「はあ〜あったけ〜」
「ほんとだ、」
紫耀につられて、私まで小声になってしまった
「……ね、A」
部屋に戻ろうとした私の腕を紫耀がつかんで、
「ちょっとだけ、話そう」
そう言うと、私を真っ暗なリビングへと連れて行く
「……うん」
リビングに入ると、紫耀がストーブをつけてその前に私を座らせた
「寒いまんまじゃ眠れないでしょ」
小声で話しながら、紫耀も私の横に腰を下ろす
2人同時に、ふっ、と息を吐いて、沈黙が訪れた
「……俺、Aたちが幸せになってほしくて、」
消えそうな声で沈黙を破ったのは、紫耀。
「Aにいろいろ言ったんだけど、」
私は、聞いてるよ。というように頷いた
「……逆に、Aに、つらい思いさせたよね、」
紫耀、もういいよ。
「これで最後だから。言わせて」
「ごめん、」
「……優しすぎるよ、紫耀はさ、」
その優しさに、また涙が出そうだ
「当たり前だろ、それは」
紫耀がきゅっと距離をつめて、私の目をのぞきこむ
「俺、Aたちが思ってる以上に、2人のこと大事にしてんだけど？」
目を合わせると、ふわりと微笑むから
やっぱり、優しすぎる。
「もう、紫耀は謝らないで」
「紫耀には本当に感謝してるし、私のせいだから」
「Aも、あんまりそうやって追い込みすぎんな」
「……う〜、がんばる」
「うん、そこはがんばれ」
急に甘えたくなって、紫耀の肩に頭を預けた
紫耀はその私の頭を、いつものように撫でてくれる
柔らかい、心地良い、私の大好きな手。
そんな規則的な手の感触にじっと意識を集中させていると、
だんだんと夢見心地になってきた
「………そろそろ寝る？」
紫耀のささやきが遠くなっていた意識を呼び戻す
こくりと頷いた涙目の私の手を取って立たせると、
紫耀はそのまま私の手を引いて部屋まで来てくれた
「今日もお疲れ様」
ベッドの前まで手を引いて、
私がベッドに座ったのを見届けると、
「……また明日、おやすみ」
そう言って、微笑んで、
ドアを閉めようとした
その姿が、また
君と重なってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 563人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
zzz(プロフ) - ここまでイッキ見してしまいました。廉先輩の様な厳しくも温かい優しさに触れあえて主人公ちゃんは幸せだよね…。どうか、みんなにとって最高な結末が待っています様に。 (2020年10月14日 19時) (
レス) id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
バカさん(プロフ) - 詩愛さん» 待つだけで涙出てきます (2019年12月23日 21時) (レス) id: dcf79e1d34 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - バカさんさん» ありがとうございます！そんな風に言って頂けてとても嬉しいです…まだまだ泣ける展開がありそうですが、最後までよろしくお願いします^^！ (2019年12月23日 21時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - みるちゃ。さん» いつもありがとうございます！好きだと言っていただけて本当に嬉しいです…これからも素敵なストーリーをお届けしますので、最後までよろしくお願いします^^ (2019年12月23日 21時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - みるちゃ。さん» いつもありがとうございます！好きだと言っていただけて本当に嬉しいです…これからも素敵なストーリーをお届けしますので、最後までよろしくお願いします^^ (2019年12月23日 21時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2019年11月18日 19時
