113 ページ15
・
「Aちゃん、いらっしゃい〜！」
「元気だったか？」
リビングに入るとおじさんおばさんが出迎えてくれた
「お久しぶりです！またよろしくお願いします」
嬉しそうに微笑む2人は紫耀と笑顔がそっくりで安心する
「また来てくれて嬉しいわ〜ありがとう」
おばさんがそう言ってくれて、私も来てよかったと心の底から思った
「荷物2階においてきたよ〜」
紫耀がリビングに戻ってきて、私に声をかける
「あ、ありがとう。ちょっと荷物整理してきます」
私はおばさんたちにそう言うと、紫耀と入れ替わりで2階の部屋に上がった
2階の海がよく見える部屋
私は1年ぶりに、その部屋に足を踏み入れた
開け放した窓のむこうでは、相変わらず真っ青な海が踊っている
「………」
ずっとそこにいると、色々な記憶が蘇ってきた
この部屋は、私たちの夏が終わったところ。
ゆっくりと深呼吸をすると、少ししょっぱい空気が唇に触れる
あの日の感触が、唇に戻った気がした。
荷物の整理をするはずが、ただぼーっと蘇る記憶に身を任せていた私
数分間そうしていると突然、
ピーンポーン
階下でインターホンの音がした
「は〜〜い」
紫耀の声が遠くから聞こえる
君だ。
確信した私は部屋を飛び出して、階段を何個も飛ばして駆け下りる
初日から、会えないと思ってたのに。
なるべく急いで、リビングを通り過ぎて、
玄関に向かう最後の廊下の曲がり角で、前髪をさっと整えた
廊下のむこうから聞こえてくる、2人の話し声
会いたかった。
心の中でそう呟いて、角を曲がると、
「じゃ、サインをお願いします」
「どこですか？」
「ここです笑」
そこにいたのは、宅配のお兄さんと、荷物を受け取っている紫耀だけだった。
……宅急便か、
「ん？どした、A」
紫耀が私に気がついて声をかける
「……ん、ううん、なんでもない」
「なんかずっとぼーっとしてない？大丈夫？」
ちょっぴり笑いながら受け取った荷物を確認する紫耀
ねえ、海人くんは？
そう聞けばよかったのに、なぜか聞けなかった。
「……そう、かな？大丈夫だよ」
なんとか明るい声で返事をして紫耀に背を向け、部屋に向かう
そういえば君は、インターホンなんて押さないよね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 478人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩愛(プロフ) - さささん» 読んで頂いてありがとうございます！そうなんですかなり苦しいお話なんです笑 その分幸せになれた喜びが大きいはずなので！どうぞ最後までお付き合いくださいね。続きもお楽しみに！ (2019年11月19日 21時) (
レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
ささ(プロフ) - こんばんは。切ないです〜、苦しいです〜(>_<)自分が海ちゃんに冷たくされている錯覚をおこし、悲しいです〜。ハッピーエンドとお知らせ頂きつつも、悲しい…。でも更新が楽しみ(*´∀｀)早くキラキラな笑顔を見せて欲しいです！続き楽しみにしてます。 (2019年11月18日 19時) (レス) id: bafeb54348 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - しおりさん» いつもありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいですありがとうございます。ぜひ完結してもたくさん読んでください！でも、まだまだ終わりませんよ〜！続きもお楽しみに！ (2019年11月15日 16時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - milkさん» いつもありがとうございます！我ながらなかなか切なすぎるかなと思ったりもしています笑 ですが最後はうまくいい感じになるので、最後までどうぞお付き合いください！続きもお楽しみに！ (2019年11月15日 16時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - おだちゃんさん» コメントありがとうございます！更新がんばりますね！続きも楽しみに待っていてください〜^^ またコメントお待ちしています！ (2019年11月15日 16時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2019年9月7日 18時
