99 ページ1
・
夏は、終わった。
それも、あっという間に。あっけなく。
夏休み明け、久しぶりに足を踏み入れた教室
「A〜！おはよ！」
すぐにいつもの女の子たちが私を振り向いた
「あ、おはよう！」
「なんかA夏休みで焼けた？？」
「そういえば、日焼け止めちょっとしか塗ってなかったかも」
だめじゃん！と明るく笑う女の子たちは、眩しい
私が席につくとその周りに集まって夏休みの思い出話を始める彼女たち
「で？どーだったのよ、夏はさ」
「はいはい！あたし彼氏できた！夏の間で別れたけどー」
そんなすごい発言をまるで当たり前のことみたいに、周りは大して驚きはしなかった
私もその子と同じ側に立っていることに気がつく
私も夏で終わらせたから、君との関係を。
「あーあ、私の周りにはまずイケメンがいないから！」
「あんたは理想高いんだよ！」
楽しそうに話し続ける彼女たちに、少しだけ、居心地の悪さを感じた
「なにビミョーな顔しちゃってんの！」
いきなり横にいた子に背中を叩かれる
「Aは？なんもなかった？」
覗き込まれる顔
「あ〜、うん、まあ」
「なに、エンジョイしなかったの？」
曖昧に逃げようとする私に、視線が集まる
「……いや、ううん、すごい楽しかったよ」
楽しかった、間違いなく。
「お、よかったよかった」
にこりと微笑んだ隣の子に、私もなんとか笑っておく
夏は、本当に心の底から楽しかった。
だけど、最後の瞬間に見た君の涙が、私を複雑な気持ちにさせる
夏の間にできたたくさんの思い出は、
どの部分を切り取っても君がいて。
いろんな表情の君が浮かぶけど、
必ず最後は、その純粋な想いの詰まった君の涙を思い出してしまう
「……おーい、ちょっとA？聞いてる？」
突然目の前で手を振られる
「え、あ、ごめんね、なに？」
なんとか無理に笑って、会話に入り込んだ
あの街に行って、君に出会えてよかった
あの夏は、一生忘れられない夏になったはずだ。
「あ、やば、ホームルーム始まる」
あっという間に散り散りになっていく女の子たちを見送った
甘酸っぱく切ない思い出を手に入れた私は、
同時に何か、純粋で綺麗な、
とても大切なものを失った気がしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 478人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩愛(プロフ) - さささん» 読んで頂いてありがとうございます！そうなんですかなり苦しいお話なんです笑 その分幸せになれた喜びが大きいはずなので！どうぞ最後までお付き合いくださいね。続きもお楽しみに！ (2019年11月19日 21時) (
レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
ささ(プロフ) - こんばんは。切ないです〜、苦しいです〜(>_<)自分が海ちゃんに冷たくされている錯覚をおこし、悲しいです〜。ハッピーエンドとお知らせ頂きつつも、悲しい…。でも更新が楽しみ(*´∀｀)早くキラキラな笑顔を見せて欲しいです！続き楽しみにしてます。 (2019年11月18日 19時) (レス) id: bafeb54348 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - しおりさん» いつもありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいですありがとうございます。ぜひ完結してもたくさん読んでください！でも、まだまだ終わりませんよ〜！続きもお楽しみに！ (2019年11月15日 16時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - milkさん» いつもありがとうございます！我ながらなかなか切なすぎるかなと思ったりもしています笑 ですが最後はうまくいい感じになるので、最後までどうぞお付き合いください！続きもお楽しみに！ (2019年11月15日 16時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - おだちゃんさん» コメントありがとうございます！更新がんばりますね！続きも楽しみに待っていてください〜^^ またコメントお待ちしています！ (2019年11月15日 16時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2019年9月7日 18時
