84 ページ35
・
夏休みが、終わる。
そして、紫耀がまた忙しくなった秋。
なかなか会えずに寂しかったけれど、
頻繁に繋ぐ電話を楽しみに、私は私で歌に力を注ぎ込んだ
「もしもーし。A？」
『うん、紫耀お疲れさま』
「ありがと。今日も疲れたー」
またその日も、深夜に繋いだ電話
近頃の紫耀は勉強がかなり忙しいみたいで。
「勉強しまくって、さすがに疲れたね」
『今日はどれくらい？』
「んーそうだね。割とずっとやってた。笑」
『………すごいことだけど、あんまり無理しないでね』
私の言葉に、うんそーする、と力なく呟く紫耀
その吐息の音を聴いているのが、あまりに切ない
すると紫耀は突然、自嘲気味に笑った。
「ごっめん俺、ため息ばっかでホント情けねーよな、」
『そんなことないよ』
そんなこと、本当に思ってない。
咄嗟に返事をした私に、君はまた息苦しそうに笑う
「ありがとう。Aって優しいよね」
元気のないその声に、ぎゅっと握りしめた拳
紫耀が私を助けてくれた分、今度は私が紫耀を助けたい。
そんなことを、考えていた。
『……ねえ紫耀。学校に行くことって、本当に簡単なことじゃないなって、私やっぱり思う』
「………うん」
『それなのにいつも通って、勉強もこなしてる紫耀はすごいよ』
「………、」
『毎日そうやって頑張ったこと、絶対無駄にならないと思う』
深夜の暗闇に光る、君がくれた私の希望
『紫耀大丈夫、きっとうまくいくよ』
『紫耀がそうしてくれたように、今度は私が紫耀に力をあげる。』
はっきりとそう口にした私
届いてほしくて、目を閉じて祈る
どうか、君にこの想いが伝わりますように。
「……A、すげーいいこと言うじゃん。」
しばらくして聴こえた紫耀の声は、
少しだけ、明るく変わったような気がした
「ありがとう、俺にはAがいる」
「頑張るよ、乗り越えてみせるから」
そうやって力強く、だけどまだ少し切なげに口にした君に
私がしてあげられることは、なんだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 964人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩愛(プロフ) - かずまｓｓｓさん» わあよかったです！！😭明日からもまた1週間頑張りましょう！コメントありがとうございました🫶 (2023年4月23日 15時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
かずまｓｓｓ(プロフ) - ありがとうございます！キュンキュンしました！明日もがんばれそうです！ (2023年4月17日 19時) (レス) @page19 id: 67c757a651 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ゆゆさん» こんばんは、リクエストありがとうございます！今後の占ツクでの活動については、今ちょうど考えているところで、必ずしもお答えできないかもしれません😭チャンスがあれば、挑戦させていただこうと思います。コメントありがとうございました♡ (2023年4月9日 23時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - ごめんなさいDMじゃないです間違えた笑笑 (2023年2月26日 11時) (レス) id: 2b084ad39d (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 急にごめんなさい！リクエストとか受け付けているのか分かりませんが、もし可能だったら岸くんが体育教師で夢主が生徒の恋愛系のお話を書いて欲しいなって思ってDMさせてもらいました！お返事頂けると幸いです！ (2023年2月26日 11時) (レス) id: 2b084ad39d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2023年1月30日 19時
