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クラウンは、まだそこにあった。
外から見たお店の雰囲気は、何ひとつ変わっていなくて
安心感と共に、少しの緊張感が生まれる
窓から中の様子をうかがうと、
閉店間近だからか、客はひとりも居なかった。
………永瀬さん、いるのかな。
永瀬さんに会いたい、というよりかは、
ちょっとした興味、好奇心だった。
ただ、そこにいるかどうか。知りたい。
本当にそれだけの感情、だったと思う。
カラン、と軽い音がする
私はそっと、久しぶりにその扉を開けた
「いらっしゃいませ〜」
奥から聴こえてきた声は、知らない人のもの。
すぐに姿を現したその人は、
見たことのない、若い男の人だった。
「1名様でよろしいでしょうか？ラストオーダーまであと10分なのですが…」
『あ、えっと、』
その人の対応に少し尻込みしながら、
だけど、聞くしかないと思って。
『、すみません、あの、』
「はい？」
『………2年前ここでお仕事されてた永瀬さん、って。まだいらっしゃいますか、』
「………あー、」
若い男の人は、記憶をたどるように視線を逸らす
そしてそのすぐ後に、私に教えてくれた
「………永瀬なら、数ヶ月前に辞めました。」
冷たい風が、入り口から吹き込む。
なんとなく全身から、力が抜けるのがわかった。
「………あの、えっと。永瀬のお知り合い、ですか？」
すると、小さな声でそう聞いてくるその人
裏を気にしている様子の彼に、私も頷く
『………はい、よく食べに来ていて。』
「あ、永瀬さんのケーキ、おいしいですもんね。僕もしばらく教わってたんです」
『、そうなんですか、』
「はい。だから急に辞めるって言われて、すごい焦りました。」
肩をすくめながら話すその人は、
永瀬さんの後輩、といったところだろうか。
『………永瀬さん、まだどこかでケーキ作ってるんですか、』
会えないことは、さておき
彼にはまだ、お菓子作りを続けていてほしくて、
私の方から、そんな質問をしてみる
すると、彼は柔らかく微笑んだ。
「作ってますよ、僕もどこかは知らないですけど。」
「新しいお店に行くことにした、って。言ってました」
それだけ聞ければ、もう充分な気がした。
みんなそれぞれ、新しい未来に向かっている
私だけが、まだここに居た。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます。いろいろな見方をしてくださっていて本当に嬉しいです…！恋っていいですよね、本当に。最終章も何卒よろしくお願いいたします♡ (2022年6月12日 14時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんにちは。第３章完結、お疲れさまでした。廉くんの一心な思いを受け入れてほしい！と思いつつ、岸君への感情をもち続ける主人公ちゃんの一途さにも心打たれたりして。恋する気持ちって甘酸っぱくてやっぱりいいな。最終章も楽しみにしてます。 (2022年6月5日 16時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - 詩愛さん» もちろん読まさせてもらいます！💕最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を見届けます♡ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 伶奈さん» コメントありがとうございます！いつも楽しみにしていてくださっているみたいで本当に嬉しいです…！最終章、公開いたしましたので是非読みにいらしてください♡ (2022年6月3日 13時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - このお話めっちゃ好きで続きが毎回気になるところで切られてて早く見たいってずっと思ってます！！次が最終章なのがちょっと寂しいですが最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を全力で応援したいと思います💕 (2022年5月26日 0時) (レス) @page50 id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2022年4月13日 19時
