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それでも、
岸さんがいなくても、私の時間は進む。
いつのまにか就職先も決まり、
最後の授業も終わり、
私は今日、卒業を迎えた。
あっという間の4年間だったな、と、
ありふれた感想を抱きながら、
楽しそうに写真を撮り合う同級生たちを眺める。
その中には恋人同士で撮影をしている人たちもいて、
私はまた少し、寂しい気持ちになった
岸さんとの写真は、1枚もない。
岸さんだけの写真すら、持っていない。
あなたがいなくなってからもうだいぶ時間が経ったのに、
私はまだ、あの恋の結末を、受け入れられないでいた。
今でも思い出せば胸が苦しいし、
気を抜けばあっという間に、黒い感情に引き込まれてしまいそうだった。
「あ、海人じゃん！」
その時、私の耳に誰かのそんな声が届く
ざわざわと騒がしい中で、大切だった名前が聞こえる
そっと様子を伺えば、
少し先の方から、海人が歩いてくるところだった
名前を呼んだ男子の方に、
手を振りながら近付いていく
「卒業おめでとう海人〜」
「ありがとう〜そっちもおめでと」
「そういえば海人ってなんの仕事すんの？俺ずっと気になってて」
「え、あれ？俺言わなかったっけ。」
「いや聞いてねえよ！」
笑いながら答えるその男子に、首を傾げる海人
「まじか、言ったと思ってたわ。俺はねぇ、……」
その瞬間、意気揚々と言葉を続けようとした海人と、
私の視線が、重なる。
久しぶりに、はっきりと顔を見た気がした。
逸らすタイミングを失い、見つめあったまま
海人がそっと、唇を噛む
「………海人？おーいどこ見てんの？」
そこにいた男子が、海人の見ている方をたどり、
私の姿を見つける
「え、なに、知り合い？話してくれば？」
そんな提案をするその人
私にもその言葉ははっきりと聞こえて、
少しずつ、心拍数が上がる。
だけど海人はその時、
夢から覚めたように私から目を逸らし、
「……………いや、いいや。」
なんて呟きながら、
曖昧な笑顔で、どこか遠くの空を見上げた。
そう、だよね。
もう、前みたいには話せないよね。
わかっていたけど、何かを期待しちゃってた。
私はそっと、海人に背を向けて、
心の中で、つぶやいた。
さようなら、と。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます。いろいろな見方をしてくださっていて本当に嬉しいです…！恋っていいですよね、本当に。最終章も何卒よろしくお願いいたします♡ (2022年6月12日 14時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんにちは。第３章完結、お疲れさまでした。廉くんの一心な思いを受け入れてほしい！と思いつつ、岸君への感情をもち続ける主人公ちゃんの一途さにも心打たれたりして。恋する気持ちって甘酸っぱくてやっぱりいいな。最終章も楽しみにしてます。 (2022年6月5日 16時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - 詩愛さん» もちろん読まさせてもらいます！💕最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を見届けます♡ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 伶奈さん» コメントありがとうございます！いつも楽しみにしていてくださっているみたいで本当に嬉しいです…！最終章、公開いたしましたので是非読みにいらしてください♡ (2022年6月3日 13時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - このお話めっちゃ好きで続きが毎回気になるところで切られてて早く見たいってずっと思ってます！！次が最終章なのがちょっと寂しいですが最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を全力で応援したいと思います💕 (2022年5月26日 0時) (レス) @page50 id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2022年4月13日 19時
