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もう、疲れた。
帰りの電車の中、ボロボロになって、
溢れて溢れて、止まらない涙
窓の外はもう真っ暗で、夜がまた訪れる。
人の少ない車内に、私の鼻をすする音が虚しく響いていた
またひとつ、大切なものを失った。
1番の親友、大好きな人
そして今日、心の支えとなってくれた存在。
今の私には、もう何も残っていない
空っぽの、抜け殻みたいな心だけが、ここにある
大好き、だった。
岸さんのことも、海人のことも、永瀬さんのことも
みんながいてくれるあの、暖かいお店の雰囲気も。
それぞれ少しずつ違ったけれど、
どれも間違いなく大好きだった、と、
今なら言える。今ならわかる。
すべてを失ってしまったけど、わかるんだよ。
電車が家の最寄り駅に着く
ほぼ亡霊のように降り立ったホームに、人はいない
冷たくて、ありふれているいつもの場所
無意識に、手にしたケータイ
岸さんとのトークルームを開く
相変わらず読まれていないメッセージ
震える指先でたどれば、懐かしいやりとりが顔を出す
…………ねえ、岸さん、
『……………会いたい、です、』
ぷつりと、心の奥で何かが切れる音がした。
会いたい、声が聴きたい、顔を見たい
もう一度、一緒に笑いたい。
いつのまにか、通話開始ボタンを押していた
すがるように耳に押し付けた、端末の向こう側
無機質な機械音が、繰り返し聴こえてくる
『…………岸さん、お願い、』
子どもっぽいとか、幼いとか、
もうそんなこと、言っていられない。
『…………出てください、』
私はいつも、大人で掴めないあなたを、
繋ぎ止めておくことに必死で。
いつでもずっと、あなただけを見てきたのに。
ひとりきりの帰り道
たくさん、震える声で泣いた。
届いて、お願い。そんな想いで。
溢れ続けた涙が、やがて枯れていく頃、
私はやっと、ケータイを耳から離した
結局、着信音が鳴り止むことはなかった。
通話キャンセルの文字が、画面に踊る
ポケットに押し込んだケータイが、わずかに熱い
もう、本当に疲れたよ。
見上げた空には、大きな満月が浮かぶ
もう尽きたと思っていたはずの涙が、
また一筋、滑り落ちた。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます。いろいろな見方をしてくださっていて本当に嬉しいです…！恋っていいですよね、本当に。最終章も何卒よろしくお願いいたします♡ (2022年6月12日 14時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんにちは。第３章完結、お疲れさまでした。廉くんの一心な思いを受け入れてほしい！と思いつつ、岸君への感情をもち続ける主人公ちゃんの一途さにも心打たれたりして。恋する気持ちって甘酸っぱくてやっぱりいいな。最終章も楽しみにしてます。 (2022年6月5日 16時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - 詩愛さん» もちろん読まさせてもらいます！💕最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を見届けます♡ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 伶奈さん» コメントありがとうございます！いつも楽しみにしていてくださっているみたいで本当に嬉しいです…！最終章、公開いたしましたので是非読みにいらしてください♡ (2022年6月3日 13時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - このお話めっちゃ好きで続きが毎回気になるところで切られてて早く見たいってずっと思ってます！！次が最終章なのがちょっと寂しいですが最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を全力で応援したいと思います💕 (2022年5月26日 0時) (レス) @page50 id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2022年4月13日 19時
