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ふたりで、のんびりと味わう時間。
ひとくち、ふたくち
フォークを進めては、言葉を交わし合う
そんな穏やかな雰囲気の中、
その瞬間は、唐突にやってきた。
「A」
『え？』
少し低い、さっきまでと違う声のトーンで、永瀬さんが私を呼ぶ
それに驚いて、変な声が出る
ふと目を合わせれば、彼はまっすぐに私を見つめていた
『………どうしたんですか、急に。』
変だな。と、その表情に違和感を覚えながら、
永瀬さんに声をかけてみる
するとその人は、また唐突に、
「…………岸さんのこと、まだ好き？」
私の記憶を、呼び起こした。
『、………どうしてまた、そんなこと、』
急なことに戸惑う私、頭の中を掻き乱される。
それでも彼の瞳は真剣で、
まっすぐなまま、次の言葉。
「…………岸さんなんか、忘れちゃえよ。」
ぐさりと、それが刺さる
言われたくなかった。自分でも、わかっていた。
苦し紛れに反論しようとした瞬間、
「…………ずっと好きやった、俺。Aのこと」
なんてもっと、永瀬さんは私の心を掻き乱す。
息が、できない。瞬きも、できない。
彼がテーブルに手をつき、身を乗り出す
少しだけ、縮まる距離
『…………いつから、ですか、』
「結構前。岸さんとAが付き合い始めたあたりやと思う」
『、そんな、』
そんなの、知らなかった。
つまりまた私は、見えていなかった。
近くにいる大切な人の、私への気持ちに。
「…………岸さんは、もうおらん。」
戸惑ったまま、視線が合ったまま
永瀬さんの声が、一段と切なく、苦しく、
私に現実を、恋の結末を思い知らせる。
「…………俺にしとき。」
「俺ならひとりにしない。つらい思いも、絶対にさせない。」
ああどうか、どうか泣かないで。
大きく揺れたその瞳に、溺れそうになる
この恋は、どうしようもない。
誰の恋もきっと、うまくいかない。
見ていられなくて、彼に返す言葉が見当たらなくて、
思わず逸らした視線
だけど永瀬さんは、そんな私を離さない、とでも言うように、
「…………なぁ見て、俺のこと。」
聴いたこともないほど、切ない声で私を呼んで、
そっと、ただそっと、
震えていた私の手を、握りしめた。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます。いろいろな見方をしてくださっていて本当に嬉しいです…！恋っていいですよね、本当に。最終章も何卒よろしくお願いいたします♡ (2022年6月12日 14時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんにちは。第３章完結、お疲れさまでした。廉くんの一心な思いを受け入れてほしい！と思いつつ、岸君への感情をもち続ける主人公ちゃんの一途さにも心打たれたりして。恋する気持ちって甘酸っぱくてやっぱりいいな。最終章も楽しみにしてます。 (2022年6月5日 16時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - 詩愛さん» もちろん読まさせてもらいます！💕最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を見届けます♡ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 伶奈さん» コメントありがとうございます！いつも楽しみにしていてくださっているみたいで本当に嬉しいです…！最終章、公開いたしましたので是非読みにいらしてください♡ (2022年6月3日 13時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - このお話めっちゃ好きで続きが毎回気になるところで切られてて早く見たいってずっと思ってます！！次が最終章なのがちょっと寂しいですが最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を全力で応援したいと思います💕 (2022年5月26日 0時) (レス) @page50 id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2022年4月13日 19時
