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『………前、付き合ってたってことですか、』
「………おん、まあそうなるかな。」
今目の前にした現実が、痛い
想像していたよりもずっと、痛い
どうして今の彼女の私じゃなくて、
前のあの人の方に、素直な表情を見せるの。岸さん。
「………そう、昔付き合っとって。」
「今でもなんとなく仲良いみたいやな、たまにああやって来て、岸さんと話してくねんけど。」
永瀬さんは慎重に、私の様子をうかがいながら、
少しずつ、苦い現実を私に告げていく
『…………そうなんですね、』
「………あ、いや。なんか、すまん、」
『全然』
慌てて首を横に振りながらも、
私は自分の声が弱々しいことに気がついた
あの人、綺麗だったな。
年上で、お仕事もしてて、
きっと私よりも大人っぽくて、わがままなんて言わないんだろうな。
そんなことを考え出すと、どんどんと、
もともと少なかった自信と信頼が、崩れ去っていく
やっぱり私、
岸さんには釣り合わないのかな。
子どもだから、相手にされてないのかな。
好き、なのに。
片方の好きって気持ちだけじゃ、
恋は、始まらないか。
「Aさん」
呆然とする私の名前を突然、
はっきりとした声で呼ぶ、永瀬さん
顔を上げれば、いつもと違う真剣な表情の彼
「………あの、俺さ。実は、」
「廉〜？マスターが呼んでるけどー？」
永瀬さんが何かを言おうとした瞬間、
お店の奥から聞こえた、あなたの声
永瀬さんの瞳が、揺れる
私を見下ろした後、小さく息を呑む
「………あ、いや。なんでもない」
言葉も、呑み込まれた。
途端、カウンターの奥からふらりと現れる岸さん
私が居たのは予想外だったみたいで、
一瞬その瞳が、小さく見開かれる
「あっ、Aちゃん、」
「………あ、そういやまだ余っとったよな。岸さん、さっきの試作、Aさんにあげといて。」
「えっ？あ、おう、わかった」
永瀬さんが、いなくなる。
岸さんは、何事もなかったかのようにそこに居て、
「……じゃ、ちょっと待ってて！今廉の持ってくる！！」
なんて、いつもの明るい笑顔で笑う
あっという間に誰もいなくなったお店の中、
私はただひとり、やるせない気持ちを噛み締めた
私ばっかり悩んで、馬鹿みたい。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます。いろいろな見方をしてくださっていて本当に嬉しいです…！恋っていいですよね、本当に。最終章も何卒よろしくお願いいたします♡ (2022年6月12日 14時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんにちは。第３章完結、お疲れさまでした。廉くんの一心な思いを受け入れてほしい！と思いつつ、岸君への感情をもち続ける主人公ちゃんの一途さにも心打たれたりして。恋する気持ちって甘酸っぱくてやっぱりいいな。最終章も楽しみにしてます。 (2022年6月5日 16時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - 詩愛さん» もちろん読まさせてもらいます！💕最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を見届けます♡ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 伶奈さん» コメントありがとうございます！いつも楽しみにしていてくださっているみたいで本当に嬉しいです…！最終章、公開いたしましたので是非読みにいらしてください♡ (2022年6月3日 13時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - このお話めっちゃ好きで続きが毎回気になるところで切られてて早く見たいってずっと思ってます！！次が最終章なのがちょっと寂しいですが最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を全力で応援したいと思います💕 (2022年5月26日 0時) (レス) @page50 id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2022年4月13日 19時
