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そして季節は過ぎ、私は大学4年生になった。
岸さんのことは、相変わらず思い出せば胸が痛い
春の暖かい陽気の中、キャンパスをあとにすると、
ふと私は、お腹が空いていることに気がついた
何か、食べて帰ろうか。
そう思いながら、駅への道を歩いていく
周りを見回しながら、少しずつ。
すると不意に、永瀬さんの優しさを、
なぜかそのタイミングで、思い出した。
………ケーキ、食べに来いって言ってたな。
思えば、永瀬さんの試作は久しく食べていない。
最近はどんなのを作ったんだろう、
また腕が上がってるんじゃないのかな。
そんなことを考えていると、気分はもうすっかりスイーツで。
私は久しぶりに、あなたのいないクラウンへと
いつのまにか、歩き始めていた。
「いらっしゃいませー、あ、」
『、こんにちは』
お店の扉を開ければ、甘い香り
すぐに出てきた永瀬さんに、挨拶をする
彼は、本当に嬉しそうだった。
「Aさん、待っとったよ。おかえり」
その一言に、妙に苦しくなる
それを誤魔化すかのように、私は頷いた
「結構長い間留守やったな？」
『そう、ですね』
「おかげさまで試作作んのもはかどったわ」
ちょっとだけ悪戯っぽく笑いながら、席に案内される
ぺたりとそこに座れば、もっと嬉しそうな彼
「今ちょうどできたのあるんやけど、どう？」
『………いただいてもいいですか』
「今お持ちしますねー」
あっという間に奥へと戻っていくその背中
ひとりきりになって、改めてお店を見回して、
カウンターに、目が止まった。
いない。あなたはそこにいない。
何度見たって、何度瞬きしたって、
あなたがいないという事実は、少しも変わらない。
好きです、岸さん。
きっとまだ好きなんです。
私今、とっても。あなたに会いたい。
溢れそうになった涙を堪える
外では、泣きたくなかった
ここでは、このお店では泣きたくなかった
「………なぁ、大丈夫なん？」
その時、永瀬さんが戻ってくる
私の表情を見て、少しだけ、心配そうな彼
慌てて、瞬きを繰り返した
『、大丈夫です。今日は何の試作ですか』
「……あー、今日はね。ちょっと創作っぽいやつなんやけど」
その時、永瀬さんは、
それ以上何も、聴いてこなかった。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます。いろいろな見方をしてくださっていて本当に嬉しいです…！恋っていいですよね、本当に。最終章も何卒よろしくお願いいたします♡ (2022年6月12日 14時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんにちは。第３章完結、お疲れさまでした。廉くんの一心な思いを受け入れてほしい！と思いつつ、岸君への感情をもち続ける主人公ちゃんの一途さにも心打たれたりして。恋する気持ちって甘酸っぱくてやっぱりいいな。最終章も楽しみにしてます。 (2022年6月5日 16時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - 詩愛さん» もちろん読まさせてもらいます！💕最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を見届けます♡ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 伶奈さん» コメントありがとうございます！いつも楽しみにしていてくださっているみたいで本当に嬉しいです…！最終章、公開いたしましたので是非読みにいらしてください♡ (2022年6月3日 13時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - このお話めっちゃ好きで続きが毎回気になるところで切られてて早く見たいってずっと思ってます！！次が最終章なのがちょっと寂しいですが最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を全力で応援したいと思います💕 (2022年5月26日 0時) (レス) @page50 id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2022年4月13日 19時
