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岸さんは、私を真っ直ぐに見ていた
少しだけ、見開いた瞳で。
『………岸さんが、わからないんです。』
言い始めてしまえば、もう止まらなくて
溢れそうになる涙を、ただひたすら飲み込む
『………岸さん、私って、』
「………、」
『岸さんにとって、どんな存在なんですか？』
やっと聞いた、本当に知りたかったこと。
やっと踏み出せた、解放への道。
あなたと絡まったままの視線
風が吹いて、私の髪を揺らす
岸さんは一度、ゆっくりと瞬きをした
そして、
「………彼女だよ。」
少しだけ震える声で、そう答えた。
私は一体、どんな答えを期待していたんだろう。
あなたの返答を聞いた瞬間、わからなくなった
彼女。それはそうだ
だって私たち、付き合っているらしいから。
だけど、そういうことじゃない
彼女であるという事実だけを再確認して、
何か大切な、本当に重要なことを、
岸さんに、隠されているような気がした。
恋人だなんて、ただの関係性であって、
あなたが私をどう思っているかは、
別の問題じゃないか、って、
もうずいぶんと、卑屈な私。
『…………そっか、彼女、』
「そうだよ、だって俺ら付き合ってんじゃん」
なぜか、必死に見える岸さん
もう、追求するような気力もなかった
本当に私、あなたになんて言ってほしかったんだろう。
『そう、ですよね。ごめんなさい、変なこと聞いて』
「いや、俺の方こそなんか、」
『いいんです。さようなら、岸さん』
あなたに一度、小さく頭を下げる
発せずに終わったあなたの言葉が、夜に溶ける
『送ってくれて、ありがとうございました。』
「Aちゃん、あの、」
『じゃあ、また。』
今は何も、
これ以上何も、聞きたくなかった。
あなたに背を向け、
いつのまにか着いていた駅の階段を駆け上がる
知りたい、わかりたい
そう思って勇気を出して聞いたのに、
私はもっと、あなたがわからなくなってしまった。
改札にたどり着いて振り向いても、
あなたはもう、そこにはいない。
あっさりと、お店に戻ってしまったのかな。
ねえ岸さん、
本当のところ、どうなんですか。
『………私のこと、好きですか、』
なんてとても、聞けそうにない。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます。いろいろな見方をしてくださっていて本当に嬉しいです…！恋っていいですよね、本当に。最終章も何卒よろしくお願いいたします♡ (2022年6月12日 14時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんにちは。第３章完結、お疲れさまでした。廉くんの一心な思いを受け入れてほしい！と思いつつ、岸君への感情をもち続ける主人公ちゃんの一途さにも心打たれたりして。恋する気持ちって甘酸っぱくてやっぱりいいな。最終章も楽しみにしてます。 (2022年6月5日 16時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - 詩愛さん» もちろん読まさせてもらいます！💕最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を見届けます♡ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 伶奈さん» コメントありがとうございます！いつも楽しみにしていてくださっているみたいで本当に嬉しいです…！最終章、公開いたしましたので是非読みにいらしてください♡ (2022年6月3日 13時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - このお話めっちゃ好きで続きが毎回気になるところで切られてて早く見たいってずっと思ってます！！次が最終章なのがちょっと寂しいですが最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を全力で応援したいと思います💕 (2022年5月26日 0時) (レス) @page50 id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2022年4月13日 19時
