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高校に入学して数ヶ月、
楽しみにしていた、体育祭の日
クラス席で大きな声援を送りながら、ふと、
私のとなりに座る廉を、振り返ってみた
ごくりと水筒から水を飲んで、その喉が上下する
少しにじんだ汗まで、すべてが愛おしくて
触れようとそっと、手を伸ばした
すると、また、
「………A」
誰かが、どこかから私を呼ぶ
頭にまた痛みが走って、伸ばしかけていた手を引っ込めた
「………廉、」
「A？どしたん」
小さな声でも、呼べばいつも、
廉は振り返ってくれる。
私をまっすぐに見つめるその瞳の中に、飛び込んでしまいたい
「……なんか、」
「あれか、頭痛？最近多いな」
「そう、嫌になっちゃう、」
おいで、って。弱々しい私の腕を廉が引く
守ってくれる、安心する
廉はいつも、私のつらいところを取り除いてくれていた
「今日めちゃくちゃ暑いし、気分悪くなっちゃったんかな。」
「そうかもしれない、」
「涼しいとこ行く？てか行こ、連れてくわ」
廉が私の手を握ったまま立ち上がり、
そっとみんなから離れて、校舎に向かう
「え？Aちゃんたち駆け落ち？」
「ふたりともごゆっくり〜」
すれ違うクラスメートたちは、私たちの関係を知っているから、
別に見られても、気にならない
廉が、私を導いてくれる
・
ふたりで転がり込んだ空き教室
開け放たれた窓から、グラウンドの様子が見えた
「どう？ちょっとは涼しいやろ」
「うん、ありがとう」
ふたりで窓際に並んで座り、風に当たる
ふわっと風が吹いて、君と視線が交わった
「………抜け出してきちゃったね、俺ら」
「そうだね、怒られちゃうかな」
「平気やって。気分良くなるまでやし」
廉の軽い声
それは私の耳を柔らかくくすぐり、
さっき頭に響いた誰かの声を、消してくれる
あの声を聞くと私は、どうしても怖くなってしまうんだ。
それがどうしてなのか、わからないけれど。
「廉、手繋いで。」
「ん。」
手を伸ばせば届く距離
私の手を、安心させるように握りしめてくれる
いつも、ありがとう。
私やっぱり、廉といられて幸せだな。
「………なんか、グラウンド戻りたくなくなってもうた。」
「……私も。」
また目が合って、笑い合って。
そっと見上げた窓の外、
今日も空は、綺麗に晴れていた。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» こんばんは！お久しぶりです！また読んでいただけて嬉しいですありがとうございます^^ 少しずつですがお話をまだまだ書いていますので、楽しんでいただけたら幸いです。こちらこそいつもありがとうございます！ (2021年10月30日 23時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんばんは。大変ご無沙汰しておりましたが、詩愛さんの作品の香りを嗅ぎ付けてやって来てしまいました( ￣▽￣)まずは第一章お疲れさまでした。これから先の展開もドキドキさせていただきますね。いつもありがとう。 (2021年10月29日 19時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひだかくんさん» いつもありがとうございます！いろいろ気になることがたくさんありますよね……ぜひ今後の展開にも期待してくださいね。ありがとうございます、無理せず更新いたします！ (2021年8月4日 23時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひだかくん(プロフ) - 高評価が一回しか押せないのがすごく悔しいです(ToT)廉君と主人公ちゃんがこれからどうなっていくのかなとか、きちんと思い出せるのかなとかめっちゃ気になります笑 作者さんも無理のないようにしてくださいね！ (2021年8月3日 23時) (レス) id: 10f3d7dc91 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ミツキさん» ありがとうございます！まだまだ先は長いので、今後もどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年7月26日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年7月24日 16時
