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その手を握りしめて、君をまっすぐに見つめる
どうして、涙を流すの？
「……、Aさんも、泣いとるやん」
「え、うそ、」
慌てて自分の頬に指をはわせれば、冷たい雫に驚いた
すると、自身の涙をぬぐい、少しばかり笑ってみせる廉さん
「……泣かんといてよ、なぁ」
「先に泣いたの、廉さんだし、」
「ん、それはごめん。けどほら、もう平気やから」
な？って私を見つめたまま、その指がまだ私に触れている
悲しそうに、まだ少しの水分を含んだ君の瞳
「……廉さん、どうして泣くんですか、」
「いやごめん、ほんまに忘れて？めちゃくちゃカッコ悪いやん俺。」
一瞬、掴めたかと思った君の弱さ
苦しい。たしかに君はそう言った
だけど今は、無理に笑っているように見える
「………」
「……じゃ、部屋戻ろか。もう夜も遅いし」
廉さんは最後にもう一度だけ空を見上げ、
私の手を引いて、立ち上がった。
初めて触れた、廉さんの手
あたたかいようで、少し冷たいその温度
少し強めに私を導き、暗い廊下を突き進む背中
廉さんと見つめ合って、手を繋いだあの瞬間、
私の中でまた、とても大きな何かが動いて
頭の奥が苦しいほどに、痛み始めていた。
「……廉さん、私たち、また会えますか？」
誰もいない廊下、小さな声でそっとその名前を呼ぶ
厳しい状況なのはわかってる
だけど廉さんに会えなくなるなんて、そんなの耐えられなくて。
小さな声で聞いた問いに、君はまたちょっとだけ笑った
「当たり前やん。俺は、」
「これからも、会うつもりやったよ。」
ぎゅっと握りしめられた手
その瞬間にまた泣きそうになって、慌てて下を向く
廉さんの存在が、どんどん、
もう戻れないほどに、大きくなってしまっていた。
「着いたよ、Aさん」
「ありがとうございました、」
私の部屋の前、廉さんがそっと手を放す
すっといきなり冷えた温度に、夜の闇が染みた
「誰にも見つからんかったね。よかった」
「ですね、」
「……じゃ、また。」
俯く私の顔を覗き込んで、君が微笑む
「はい、また。」
「会いに来るから。だから待っとって。」
私と君だけ、他には誰もいない
そこは、寂しい世界だった。
「……おやすみ、Aさん」
「おやすみなさい、廉さん」
名残惜しく、目を合わせたまま遠ざかる君
また会えますように。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» こんばんは！お久しぶりです！また読んでいただけて嬉しいですありがとうございます^^ 少しずつですがお話をまだまだ書いていますので、楽しんでいただけたら幸いです。こちらこそいつもありがとうございます！ (2021年10月30日 23時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんばんは。大変ご無沙汰しておりましたが、詩愛さんの作品の香りを嗅ぎ付けてやって来てしまいました( ￣▽￣)まずは第一章お疲れさまでした。これから先の展開もドキドキさせていただきますね。いつもありがとう。 (2021年10月29日 19時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひだかくんさん» いつもありがとうございます！いろいろ気になることがたくさんありますよね……ぜひ今後の展開にも期待してくださいね。ありがとうございます、無理せず更新いたします！ (2021年8月4日 23時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひだかくん(プロフ) - 高評価が一回しか押せないのがすごく悔しいです(ToT)廉君と主人公ちゃんがこれからどうなっていくのかなとか、きちんと思い出せるのかなとかめっちゃ気になります笑 作者さんも無理のないようにしてくださいね！ (2021年8月3日 23時) (レス) id: 10f3d7dc91 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ミツキさん» ありがとうございます！まだまだ先は長いので、今後もどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年7月26日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年7月24日 16時
