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こっそり中庭にやってきた私たち
ふたりきりで、空を見上げてみる
しばらくそのまま見ていたら、となりで廉さんが笑った
「座ろ、どうせやから」
彼について、奥のベンチへと向かう
草むらをかき分け腰を下ろせば、夏の夜風が頬を撫でた
夏の夜、ふたりだけの空。
となりに座る廉さんの息遣いが、浅い
「……つうかあれっすね、なんか久しぶり？」
「しばらく会えてなかったですもんね、」
「多分バレたんやろな、会ってたこと」
ふう、と、ため息をつく君
その瞳が少しだけ、寂しそうに光っていた
「治療のためだからもう関わるなって言われましたよ、俺」
「私もそう言われました、」
「……マジすか？なんなんガチで、なんもわからへん、」
君の高い声が、憤る
私たちは、何も知らない。
「………まーじで、この世界どうなってんねやろ」
真っ黒な空の下、小さく吐き出された君の言葉
その言葉を拾うように目を合わせれば、
廉さんは少しだけ、苦しそうに微笑む
「外で何が起こっとるかは全然わからんし、中は中で意味わからんこと多すぎる、ほんまに」
「………ですね」
外の世界から隔離されているような気がしていたのは、
私だけじゃ、なかった。
「………廉さんは、本当にかなり長い間ここにいるんですね、」
「………まあ、そうなるかな。」
静かな夜、草の匂い
その横顔に、なぜか泣いてしまいそうで
突然、強い感情が沸き起こる。
廉さんのこと、もっと知りたい。
もっと一緒にいたい。
それから、
「………廉さん、」
「ん？」
名前を呼べば、その視線が私へと揺らめく
「どしたん、Aさん」
「、一度だけ。一度だけでいいので、」
それは、願望というより、本能だった。
・
「………廉さんに、触れたい、です、」
・
触れたかった。君に。
私の言葉に、君は小さく息を呑む
重なる視線が苦しくて、また頭が痛みだす
「……あ、ごめんなさい急に変なこと。やっぱり今のは、」
慌てて撤回しようとしたその時、
汗ばむ君の指先がそっと、私の右手を握りしめた
「、廉さん、」
「……なんやろなぁ、Aさん、」
震えるその声、思わず見上げると君の頰に、
「……俺なんでこんなに、苦しいんかな、」
一筋の涙が、伝っていた。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» こんばんは！お久しぶりです！また読んでいただけて嬉しいですありがとうございます^^ 少しずつですがお話をまだまだ書いていますので、楽しんでいただけたら幸いです。こちらこそいつもありがとうございます！ (2021年10月30日 23時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんばんは。大変ご無沙汰しておりましたが、詩愛さんの作品の香りを嗅ぎ付けてやって来てしまいました( ￣▽￣)まずは第一章お疲れさまでした。これから先の展開もドキドキさせていただきますね。いつもありがとう。 (2021年10月29日 19時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひだかくんさん» いつもありがとうございます！いろいろ気になることがたくさんありますよね……ぜひ今後の展開にも期待してくださいね。ありがとうございます、無理せず更新いたします！ (2021年8月4日 23時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひだかくん(プロフ) - 高評価が一回しか押せないのがすごく悔しいです(ToT)廉君と主人公ちゃんがこれからどうなっていくのかなとか、きちんと思い出せるのかなとかめっちゃ気になります笑 作者さんも無理のないようにしてくださいね！ (2021年8月3日 23時) (レス) id: 10f3d7dc91 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ミツキさん» ありがとうございます！まだまだ先は長いので、今後もどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年7月26日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年7月24日 16時
