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また別のある日
中庭のベンチにぼーっと座っていた私の元に、
「……あれ、また会った。」
「……あ、こんにちは、」
彼がふらりと、やってきた。
いつものように、交わる視線
別に今日の私は、彼を待っていたわけじゃなかったけど。多分。
「暑いっすねえ、今日も」
「そう、ですね」
彼は何気なく、ふーっと息を吐いて空を見上げる
そしてその視線をすぐ、私に戻した
「なぁ、ここ、座ってもいい？」
「え、あ、はい。どうぞ、」
「じゃあ、遠慮なく。」
彼は、私に向かってこっそり口角を上げると、
よっこらせ、と、私のすぐとなりに腰を下ろす
また、どきどきと速いテンポを刻む心臓
なんとなく、頭も痛む気がする
ちょっとだけ触れそうで触れない、肩と肩。
「………なんかこの病院って、俺らくらいの歳の患者、なかなかいなくないっすか。」
少し続いた沈黙を、彼の少し高めの声が破る
突然話しかけられてまた、戸惑う私
「……いない、ですね。みんな大人ばっかり」
「ですよね？俺寂しかったんすよ、マジで」
彼はそう言ってから、背もたれにぐたりと寄りかかった
私の鼻をくすぐる、彼の香り。
それだけでまた、なぜか泣きたくなって
思わずぎゅっと、膝の上の手のひらを握りしめた
「若い人俺だけなんかな〜って思ってたから、なんか嬉しいっす。」
彼が笑って、また私の心が揺れる
「……ってことは、ここの病院には、長く居るんですか。」
「ん〜そうっすね、どれくらいから長いって言うのかイマイチわかってないんやけど、多分長い、かな。」
「そう、なんですね、」
私の質問に答えたあと、今度は彼が私に質問を投げかけた
「そっちは、どれくらいなんすか？ここ」
「あ、えっと。」
いつから、と言えばいいのだろうか。
目が覚めてからはしばらく経っているけれど、
正直、どう答えるのが正解かわからない
返答に困っていると、彼がハッと息を呑んだ
「あっ、答えたくないっすよね。すいません」
「……いえ、そうじゃなくて。よくわかってなくて、自分のこと」
思わずほろりと、現実が唇からこぼれ落ちる
言ってしまってから、なんだか苦しくなって。
すると、彼がそっと視線を伏せて、
「………そっか。苦しいっすね、それ」
なんて、小さく呟く
虚ろな目
まるですべてを理解しているかのような、
そんな、言葉だった。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» こんばんは！お久しぶりです！また読んでいただけて嬉しいですありがとうございます^^ 少しずつですがお話をまだまだ書いていますので、楽しんでいただけたら幸いです。こちらこそいつもありがとうございます！ (2021年10月30日 23時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんばんは。大変ご無沙汰しておりましたが、詩愛さんの作品の香りを嗅ぎ付けてやって来てしまいました( ￣▽￣)まずは第一章お疲れさまでした。これから先の展開もドキドキさせていただきますね。いつもありがとう。 (2021年10月29日 19時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひだかくんさん» いつもありがとうございます！いろいろ気になることがたくさんありますよね……ぜひ今後の展開にも期待してくださいね。ありがとうございます、無理せず更新いたします！ (2021年8月4日 23時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひだかくん(プロフ) - 高評価が一回しか押せないのがすごく悔しいです(ToT)廉君と主人公ちゃんがこれからどうなっていくのかなとか、きちんと思い出せるのかなとかめっちゃ気になります笑 作者さんも無理のないようにしてくださいね！ (2021年8月3日 23時) (レス) id: 10f3d7dc91 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ミツキさん» ありがとうございます！まだまだ先は長いので、今後もどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年7月26日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年7月24日 16時
