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だんだんと傷が癒えていき、数日後
今夜も紫耀くんが来ると優太から聞いて、
駅まで迎えに行くことにした私
「あ、紫耀の迎え？」
「うんそう。駅までだけど」
玄関で靴を履く私の背中に、優太の声が届く
振り返って返事をすれば、嬉しそうな表情の彼
「マジ仲良しだよね、紫耀と」
「………優太ほどじゃないよ、いってきます」
ニヤニヤしている優太に呆れながら、家の外に出る
遠くに日が沈み始め、空は深いオレンジ色
駅に向かってゆっくり、足を踏み出した。
・
「あれっ、Aだ」
駅に着いて、待つこと数分
ちょっとだけかすれた大好きな声がして、顔を上げた
「紫耀くん、待ってたよ」
「え、もしかして迎えに来てくれたの？」
近寄ってくるあなたが、嬉しそうに微笑む
「うん、早く会いたかったから。行こう？」
「うわ、いつそんなセリフ覚えたんだよ、」
ちょっとだけ恥ずかしそうな紫耀くんのとなり
ふたりで私の家まで、歩いていく
風がふわりと吹いて、紫耀くんの匂いがした。
まだ少し、私の気持ちを気にしていそうなあなたは
私と手を、繋がない。
それが、こんなにも寂しいことだなんて。
「………優太、彼女さんとうまくやってるみたい」
そこで突然話し出した私を、あなたが不安気にちらりと見下ろす
「………そうだね」
「もうきっと私、乗り越えられると思う。」
短く返事をしてくれた紫耀くんに、私は言葉を続けた
「優太ね、幸せそうなの。それを見てるの、ちょっと嬉しいし、」
「……兄妹だから、そもそもありえないし。」
そう、ありえない。
それなのに私は本当に、馬鹿みたいだった。
地面の石ころを蹴ると、ころんと音がする
「………それに私には、」
「紫耀くんが、居るから。」
まっすぐに見上げると、瞬きをするあなた
本心だよ、紫耀くん。
私、あなたと一緒に居たい。
どうしようもないこの気持ちを、
救ってくれた、あなたと。
そっと触れ合う私たちの指先
紫耀くんは、何も言わないけど、
ゆっくりと繋がれた手と手の温度
それがあまりにも温かくて、
くすぐったくて、思わず笑みが溢れてしまう
紫耀くん、私前を向くよ。
だからどうか、この手だけは、
離さないで。どこまででも、連れていってね。
見上げた空は、すっかり日が落ちて、
大きな月だけが、ただ私たちを照らしていた。
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湊。(プロフ) - 初めまして。感想を書くのが初めてなので上手く伝えられないと思いますが読んでいただけると嬉しいです。しあさんの書く文章が言い回しが本当に好きです。こんな素敵な文を書く人がいるんだ、と本当に感動しました。この物語としあさんに出逢わせてくれてありがとう。 (2023年3月14日 21時) (
レス) @page27 id: 3a1c3da159 (このIDを非表示/違反報告)
如月すい - 完結おめでとうございます。3人の交差する思いに時に涙しながら読ませていただきました！これからも素敵な作品を作ってください❤️ (2022年10月27日 18時) (レス) @page27 id: 76527d2194 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます！素敵な作品にだなんて言っていただけて本当に幸せです、ありがとうございます。ぜひまた読み返してみてください！またよろしくお願いいたします^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - かいとんさん» ありがとうございます！！いろいろな感情になっていただけたみたいで、とっても嬉しいです。これからものんびり頑張りますね！本当にありがとうございました^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - hasさん» はじめまして！いつもお読みいただきありがとうございます！今後もどうぞよろしくお願いいたします。またコメントお待ちしております^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年5月15日 9時
