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次の日の朝
目を覚ますと、となりにあなたがいた。
私の部屋の片隅、寄り添ったまま
私たちは眠ってしまっていたらしい。
「朝だよ、紫耀くん」
「……ん、ん〜、」
窓から差し込む朝日の眩しさに目を細め、
あなたが、もぞもぞと動く
ちらりと一瞬、交わる視線
「………おはよ、A」
「おはよう、」
「………もう岸くんも、起こす？」
寝ぼけた声のままだけど、
どこか切なく、あなたは私に聞く
「……今日は優太、午後から授業だから、」
「そっか。じゃあ、」
「うん、まだ起こさない」
まるで、危ない橋をふたりで渡っているような、
終わりのない旅を、始めてしまったような。
そんな、感覚。
私たちは、ふたりで一緒に布団を抜け出し、
昨日へと消えた、ふたりきりの夜に別れを告げた
・
「優太、ちゃんと起きてね、」
「ん〜〜、」
「岸くん、俺ら声かけたからね？もう知らないよ」
平野さんは帰る支度、私は午前の授業の準備を済ませてから、
ふたりで、寝ている優太を起こそうと試みる
だけど優太は、全然起きる気配もなく。
「……岸くん〜、時間ないから俺らもう行くね。行こ、A」
「え、わかった、」
大きなその手に背中を押され、
私と紫耀くんは、荷物を持って家の外に出た
・
ふたりで、肩を並べて歩く駅までの道
あちこちでお店のシャッターが、開く音がする
「ねえA」
「うん、」
歩きながらあなたは、私を呼んだ
「………手、繋いでもいい？」
遠慮がちに囁かれた声に、
あなたの優しさが、滲み出る
頷いた私の手に触れる、その指先
伝わる温もりに、嬉しさとやるせなさが溢れた
・
あっという間に駅の前、あなたと別れなければいけない場所。
改札を前にして、私はぎゅっとあなたの手を握りしめる
「………電車乗り損ねるよ、A」
「わかってる、」
怖い。怖いから、居てほしい。
どうか、ここに居て。
そして私を、離さないでいて。
「紫耀くん、好きだよ。本当に」
嘘じゃないよ、これが私の気持ち。
だけどあなたは、ちょっとだけ寂しそうに笑う
「俺も好きだよ、Aのこと。」
いつもなら安心できるはずのその言葉も、
今はどこか痛くて。
「………ほら行こA、遅刻する。」
私たちはお互いの傷を埋めるかのように、
ただ熱く、視線を交わした。
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湊。(プロフ) - 初めまして。感想を書くのが初めてなので上手く伝えられないと思いますが読んでいただけると嬉しいです。しあさんの書く文章が言い回しが本当に好きです。こんな素敵な文を書く人がいるんだ、と本当に感動しました。この物語としあさんに出逢わせてくれてありがとう。 (2023年3月14日 21時) (
レス) @page27 id: 3a1c3da159 (このIDを非表示/違反報告)
如月すい - 完結おめでとうございます。3人の交差する思いに時に涙しながら読ませていただきました！これからも素敵な作品を作ってください❤️ (2022年10月27日 18時) (レス) @page27 id: 76527d2194 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます！素敵な作品にだなんて言っていただけて本当に幸せです、ありがとうございます。ぜひまた読み返してみてください！またよろしくお願いいたします^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - かいとんさん» ありがとうございます！！いろいろな感情になっていただけたみたいで、とっても嬉しいです。これからものんびり頑張りますね！本当にありがとうございました^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - hasさん» はじめまして！いつもお読みいただきありがとうございます！今後もどうぞよろしくお願いいたします。またコメントお待ちしております^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年5月15日 9時
