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そして、夜になる。
薄暗い自分の部屋に、ひとり
おやすみを言ってから、どれくらい時間が経ったのだろう。
しんと静まり返った家の中
壁の時計を見上げれば、もう日付が変わろうとしていた
結局、紫耀くんは泊まっていくことになって、
きっと今頃、リビングの優太の隣で眠っている
聞こえるのは、時計の秒針の音だけ。
眠れなくて、何度も寝返りを打つ
私だけが、起きている夜。
「………、」
ふと、優太のことを考えていた
そっか、彼女できたんだ、って。
どろどろした気持ちが、心に押し寄せる
泣いてしまいそうで、思わずぎゅっと目を閉じた瞬間、
「A、起きてる？」
紫耀くんの声が、部屋の外から聴こえた。
「……うん、起きてる、」
「入ってもいい？」
「いいよ、」
答えれば遠慮がちに開いた扉
廊下の暗闇から、紫耀くんの輪郭がふわりと浮かび上がる
「紫耀くんも、起きてたんだ、」
「ごめん夜遅くに」
「大丈夫、来て」
ゆっくり身体を起こすと、
あなたが寄り添うように、私の横に腰を下ろす
カーテンの隙間から、月が私たちを見守っていた
「………なんか優太、幸せそうだったね。」
別に言いたかった訳じゃないのに、
暗い部屋の中、突然口をついて出てきた言葉
紫耀くんの呼吸が、止まる
「紫耀くんは先に聞いてたの？」
「……うん、昼間に聞いた、」
「そっか。でも良かった！やっと、やっと、優太も彼女、」
そこから先は、声がうまく出てこない
大丈夫、大丈夫なのに。
私には紫耀くんがいるのに。優太じゃないのに。
かたまった私の頬を、あなたがそっと撫でる
心の奥が、小さく震えた
「………恋ってホント、難しいね。」
吐息混じりにささやいたあなたの、
その濡れた瞳を見つめる
ああ、紫耀くん、
あなたにそんな悲しい顔、させたくなかった。
紫耀くんはまるで全てを包み込むように、
私をそっと、抱きしめる
どうしたらいい、この行き場のない気持ちを。
ごめん。ごめんね、紫耀くん。
あたたかい腕の中、
私はただひたすらに、あなたにしがみつく
「……、紫耀くん、私、」
「わかってる。だけどごめん、」
あなたの、震えた声
「………俺はAのこと、絶対手放したくないから。」
ねえ、それなら一緒に居て。
絶対に、離さないで。
この夜に私を、閉じ込めてよ。
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湊。(プロフ) - 初めまして。感想を書くのが初めてなので上手く伝えられないと思いますが読んでいただけると嬉しいです。しあさんの書く文章が言い回しが本当に好きです。こんな素敵な文を書く人がいるんだ、と本当に感動しました。この物語としあさんに出逢わせてくれてありがとう。 (2023年3月14日 21時) (
レス) @page27 id: 3a1c3da159 (このIDを非表示/違反報告)
如月すい - 完結おめでとうございます。3人の交差する思いに時に涙しながら読ませていただきました！これからも素敵な作品を作ってください❤️ (2022年10月27日 18時) (レス) @page27 id: 76527d2194 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます！素敵な作品にだなんて言っていただけて本当に幸せです、ありがとうございます。ぜひまた読み返してみてください！またよろしくお願いいたします^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - かいとんさん» ありがとうございます！！いろいろな感情になっていただけたみたいで、とっても嬉しいです。これからものんびり頑張りますね！本当にありがとうございました^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - hasさん» はじめまして！いつもお読みいただきありがとうございます！今後もどうぞよろしくお願いいたします。またコメントお待ちしております^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年5月15日 9時
