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・
お兄ちゃんと離れて暮らすようになってから、
まったく寂しくなかったと言えば、嘘になる。
大学から帰ってきても誰もいないし、
美味しい、って、ご飯を食べてくれる人もいない
だけど、そんな私の気持ちを察してか、
紫耀くんは頻繁に、私の家に来てくれていた
忙しくても、疲れていても。
週に一度は必ずやってきて、ふたりきりの時間を作ってくれる
そんな紫耀くんを、私はどんどん好きになってしまう
だから余計に、ひとりの時間が寂しくなった。
ーーーーー
そして、新しい場所で生活を始めて2年
私は、大学を卒業した。
式のあと、家に帰ってきて晩ご飯を準備していると、
インターホンが鳴って、予定よりも早くあなたが来たことを告げてくれる
台所を出て、急いで玄関のドアを開ければそこに、
「A、卒業おめでとう。」
大きな花束を抱えた愛しい人が、
優しく微笑みながら、立っていた。
・
仕事帰りの紫耀くんは、スーツのまま。
だけど、今日はうちに泊まろうと決めていたらしく、
ご飯を食べ終わるとすぐに、ネクタイを緩めて私を抱きしめた
「紫耀くん、今日は花束までありがとね。」
「全然。ホントは式にも行きたかったんだけどさ、仕事終わんなくて。ごめん」
「ううん。嬉しいよ、こうやっていつも時間見つけてきてくれるの」
「俺が会いたいからね。しかも会えたら、疲れ吹っ飛ぶし」
ゆっくりと、腕の力を強めながら耳元で囁くあなた
なんとなくくすぐったい感覚
そっと顔を上げれば、視線が絡みついた
「………大人になったね、A」
そっとその指が私の頬に触れて、
少しだけ寂しそうに、そのまま顎をなぞっていく
「………それは、紫耀くんのせいでしょ。」
「逆に俺のせいじゃなきゃヤダよ。」
ちょっとだけ可愛い、その言葉。
ああ、好きだなぁ、って
見つめ合ったまま、くすりと笑みが溢れた
・
「……ねえ、いつかさ。俺と同じ家に住んでくれる？」
そのままそっと押し倒されたシーツの上、
紫耀くんが、私を見下ろす
「……え、紫耀くん、それって、」
「うん、そういうつもりで言ってる」
ふわりと微笑んで、優しくキスを落として。
「いつか、俺のお嫁さんになってね。」
ゆっくりと溶けていく夜
そっと頷いた私に、あなたは微笑んだ
優しく私を、抱きしめながら。
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湊。(プロフ) - 初めまして。感想を書くのが初めてなので上手く伝えられないと思いますが読んでいただけると嬉しいです。しあさんの書く文章が言い回しが本当に好きです。こんな素敵な文を書く人がいるんだ、と本当に感動しました。この物語としあさんに出逢わせてくれてありがとう。 (2023年3月14日 21時) (
レス) @page27 id: 3a1c3da159 (このIDを非表示/違反報告)
如月すい - 完結おめでとうございます。3人の交差する思いに時に涙しながら読ませていただきました！これからも素敵な作品を作ってください❤️ (2022年10月27日 18時) (レス) @page27 id: 76527d2194 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます！素敵な作品にだなんて言っていただけて本当に幸せです、ありがとうございます。ぜひまた読み返してみてください！またよろしくお願いいたします^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - かいとんさん» ありがとうございます！！いろいろな感情になっていただけたみたいで、とっても嬉しいです。これからものんびり頑張りますね！本当にありがとうございました^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - hasさん» はじめまして！いつもお読みいただきありがとうございます！今後もどうぞよろしくお願いいたします。またコメントお待ちしております^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年5月15日 9時
