68 ページ19
・
数日後の夜
ご飯を作りながらケータイを確認して、リビングの優太に声をかける
「優太。今、紫耀くんが向かってるって。」
「えっ、紫耀？！俺んとこ連絡ないけど？！」
「うん、でも私の方に来てるから。」
「えー、まじか…俺なんか言われる？」
すっかり怯えている優太
大丈夫だよ、って、伝えようと思ったその時、
鳴り響く、インターホン。
「ほら優太、紫耀くん来た。開けてあげて」
「え？えーっ？？」
慌てる優太の背中を、玄関へ押してみる
「待ってよ！！俺どんな顔して会えばいいの！！」
「そのまんまでいいの、ほら、」
あっという間に玄関に着いて、ドアをパッと開けば、
「あっ、紫耀、」
「岸くんごめん！！！！」
目が合ってすぐさま、深く頭を下げるあなたが居て。
突然のことに、優太の口がパカンと開く
「え、何、紫耀ちょっと頭上げてよ、」
「ほんっっとにごめん岸くん」
「紫耀くん、中で話そ？」
少し心配そうなあなたと一緒に、私たちは家の中に入った
微妙な空気の中、私がそっと紫耀くんをつついてみる
不安気に私を見下ろすあなたに向かって、そっと頷いた
「………岸くん、ホントにずっと避けててごめん」
「えっ、いや、全然？え、俺なんかしたよね？俺の方こそごめん」
「いや、岸くんは何もしてないよ。マジでごめんね」
怒っていない優太を見て、
紫耀くんの瞳に広がる、安心の色
「いや、俺紫耀と話せなくてマジ退屈させられたよ！！」
「ごめんごめん、また仲良くしてください」
「もちろんだけどさ、本当に俺なんもしてない？なんであんなに俺のこと避けてたの」
多分優太は、ただ純粋に知りたかっただけ。
だけど、避けていた理由は正直に言えるわけがない
「………岸くんのこと、避けてたのは、」
「優太、私紫耀くんと好き同士なの。」
私はふらりと話し始めたあなたの言葉を遮って、
まっすぐに、優太を見てその言葉を放った
「……ああ、え？紫耀と、え？？」
「紫耀くんは、優太にその話するのに緊張しすぎて避けちゃってただけ。」
ね？と見上げた先のあなたの顔が、
ちょっとだけ、笑顔になる
「……あーなに、そういうこと？なんだよ！！別にそうなんのは超自然な流れだし、そんな緊張しなくていいって！！」
「だってよ、紫耀くん。」
「………そっか、そうだよね」
あなたの唇が柔らかく、
″ありがとう″と、動いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1340人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
湊。(プロフ) - 初めまして。感想を書くのが初めてなので上手く伝えられないと思いますが読んでいただけると嬉しいです。しあさんの書く文章が言い回しが本当に好きです。こんな素敵な文を書く人がいるんだ、と本当に感動しました。この物語としあさんに出逢わせてくれてありがとう。 (2023年3月14日 21時) (
レス) @page27 id: 3a1c3da159 (このIDを非表示/違反報告)
如月すい - 完結おめでとうございます。3人の交差する思いに時に涙しながら読ませていただきました！これからも素敵な作品を作ってください❤️ (2022年10月27日 18時) (レス) @page27 id: 76527d2194 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます！素敵な作品にだなんて言っていただけて本当に幸せです、ありがとうございます。ぜひまた読み返してみてください！またよろしくお願いいたします^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - かいとんさん» ありがとうございます！！いろいろな感情になっていただけたみたいで、とっても嬉しいです。これからものんびり頑張りますね！本当にありがとうございました^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - hasさん» はじめまして！いつもお読みいただきありがとうございます！今後もどうぞよろしくお願いいたします。またコメントお待ちしております^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2021年5月15日 9時
