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紫耀くんが、私の手を放そうとしている
私はそのことに、気がついてしまった。
「A、紫耀と連絡とってる？」
「ううん、最近はしてない」
「はぁ、大学でも会わないし、何してんだろマジで」
ある平日の夜、夕飯をテーブルに並べながら
優太と、紫耀くんの話をする
優太は本当に、まだ何も知らないまま。
「……ご飯、食べようよ、」
「おっ、食べるか！」
ふたりで椅子に座って、
手を合わせて、いただきます。
私の料理を食べ始める優太
向かいの席から、じっとその様子を見つめる
私は、この人と兄妹じゃない。
今までずっと、兄と妹という関係に縛られ、
自分の気持ちを、肯定することができなかった
だけど私は、この人と兄妹じゃない。
血が繋がっていない。紫耀くんからそう聞いて、
少しも優太を意識しなかった、と言えば嘘になる
だけど、だけど私は、
「A？食わないの？」
「あ、ごめん、」
優太と、視線が交わる
その瞳はあの頃から何も変わってない
綺麗で、純粋で、私の大切な光
「なんか最近、ぼーっとしてること多くね？」
「そうかな、」
「俺にはそう見えてるよ」
優太はすぐに私の異変にも気がつく
私の気持ちには、全然気がつかなかったくせに。
「…………なんか俺に、聞きたいことでもあんの？」
「……え？」
突然そんなことを言われて、体が固まる
すると私のその反応に、優太の方もなぜかびっくりしたみたい
「え、マジで聞きたいことあった？」
「………今の質問、適当に言ったの？」
「うん、なんかそうなのかな〜っていう軽い気持ちで……怖いんだけどマジで」
何に怖がってるのか全然わからないけど、
優太は相変わらず、優太のままだ。
「………優太に、聞きたいことね、」
「うん、なんか怖いけど、言ってみ」
優太に、聞きたいこと。
「………私たち、ってさ、」
兄妹じゃ、ないんでしょ？
その言葉を、続けようと思っていた
優太の口から、聞きたいと思っていた
だけど、
それを聞いて、何になるんだろう。
その時、頭に浮かんだ人
笑った顔、心配そうな眼差し、
ふたりきりの夜、熱い手、
優しい、唇。
「俺たちがなに？A」
紫耀くん、私の、
大切な人。
「……ううん、やっぱりなんでもない」
私の選ぶ未来は、こっちじゃない。
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湊。(プロフ) - 初めまして。感想を書くのが初めてなので上手く伝えられないと思いますが読んでいただけると嬉しいです。しあさんの書く文章が言い回しが本当に好きです。こんな素敵な文を書く人がいるんだ、と本当に感動しました。この物語としあさんに出逢わせてくれてありがとう。 (2023年3月14日 21時) (
レス) @page27 id: 3a1c3da159 (このIDを非表示/違反報告)
如月すい - 完結おめでとうございます。3人の交差する思いに時に涙しながら読ませていただきました！これからも素敵な作品を作ってください❤️ (2022年10月27日 18時) (レス) @page27 id: 76527d2194 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます！素敵な作品にだなんて言っていただけて本当に幸せです、ありがとうございます。ぜひまた読み返してみてください！またよろしくお願いいたします^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - かいとんさん» ありがとうございます！！いろいろな感情になっていただけたみたいで、とっても嬉しいです。これからものんびり頑張りますね！本当にありがとうございました^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - hasさん» はじめまして！いつもお読みいただきありがとうございます！今後もどうぞよろしくお願いいたします。またコメントお待ちしております^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年5月15日 9時
