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だけどやっぱり、恋はそんなに簡単じゃない。
数日間、私のところに紫耀くんからの連絡はなかった
毎晩確認するあなたとのトークルーム
一向に読まれない私のメッセージ
不安で、何度も何度も確かめた
「優太、紫耀くん本当にどうしたんだろう、」
「わかんないんだよな、マジで。大学でもあんま見かけなくてさ」
「そう、なんだ、」
窓の外、今夜も日が沈もうとしている
「………私、紫耀くんの家行ってくる。」
「え、今から？」
「うん、今から。」
今夜を逃したくない
なぜか、なぜかそう思った。
何回か行ったことのある紫耀くんの家
記憶を頼りに向かう道に、私の影が落ちる
紫耀くん、いるかな。
やっと見えてきた小さなアパート
階段を登って、あなたの家のドアの前に立つ
震える指先でインターホンを押した
お願い、居てください。
数秒の間のあと、ゆっくりとドアが開く
「……、紫耀くん、」
「A、」
久しぶりに見たあなたの顔
うろたえたようにその瞳が揺れる
「………ごめんね、急に来て。心配だったの」
「………、」
何も言わない、目を合わせない
ただドアを大きく開けたあなたの後について、
私もそっと、玄関に足を踏み入れた
「………どうしたの、紫耀くん」
家の中、床の上に力なく座り込んだあなた
慌てて私も、そのとなりにしゃがみ込む
「………、」
「………体調とか、悪いの？」
「………、」
「ねえ紫耀くん、」
なんとか顔を見たくて、
そっと近付くと、そらされる視線
まるで私を、拒むかのように。
「………私のこと、嫌に、なった？」
怖かった。だけど知りたかった。
その言葉にしがみついて、夜の闇に漂う
「いや、そんなんじゃない、」
「じゃあ、」
「好きだよ、Aのこと。」
あなたの声が、震えていて
思わずそっと、その手のひらを握りしめた
「紫耀くん、」
「俺は好きなんだよ、好きだけど、」
繋がれた手が、冷たい。
「………Aは、俺と居て幸せ？」
紫耀くんが、ゆっくりと顔を上げる
交わった視線に夜が反射して、
ふたりを、暗く、黒く包み込む
幸せ、って、
どうして今更、そんなこと聞くの、
その表情があまりに苦しげで、
すぐに答えられずにいると、
「………ごめん、もう帰って。」
あなたはまた、
私を拒んだ。
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湊。(プロフ) - 初めまして。感想を書くのが初めてなので上手く伝えられないと思いますが読んでいただけると嬉しいです。しあさんの書く文章が言い回しが本当に好きです。こんな素敵な文を書く人がいるんだ、と本当に感動しました。この物語としあさんに出逢わせてくれてありがとう。 (2023年3月14日 21時) (
レス) @page27 id: 3a1c3da159 (このIDを非表示/違反報告)
如月すい - 完結おめでとうございます。3人の交差する思いに時に涙しながら読ませていただきました！これからも素敵な作品を作ってください❤️ (2022年10月27日 18時) (レス) @page27 id: 76527d2194 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます！素敵な作品にだなんて言っていただけて本当に幸せです、ありがとうございます。ぜひまた読み返してみてください！またよろしくお願いいたします^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - かいとんさん» ありがとうございます！！いろいろな感情になっていただけたみたいで、とっても嬉しいです。これからものんびり頑張りますね！本当にありがとうございました^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - hasさん» はじめまして！いつもお読みいただきありがとうございます！今後もどうぞよろしくお願いいたします。またコメントお待ちしております^^ (2021年7月15日 16時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年5月15日 9時
