55 ページ6
・
次の日、一日中海人のことを考えてしまって。
授業も、課題も。何ひとつ集中できなかった。
放課後になって、みんなが教室を出ていく
私はひとり、そこに残って
気持ちいいくらいに晴れている空を、ぼんやりと見上げた
今日、君はベンチに居るのだろうか。
初めて会ったあの日、
あの日から、ほぼ毎日のように同じ時間を過ごしてきた私たち
ふたりきりの、優しい時間。
それがこんなにも恋しくて、
いつの間に私たちは、純粋な気持ちだけで、となりに居られなくなってしまったんだろうね。
今日君は、居ないかもしれない。だけど、
もしかしたら昨日みたいに、
そこで、私を待っているかもしれないから。
教科書をカバンに詰めて、
私は、教室を飛び出した。
今日も、とっても暑い
それなのに公園には、元気に遊ぶ小学生たちがたくさん居て、
元気だな、なんて。遠くからその様子を見ていた
だんだんと近付いてくる、いつもの私たちの場所
どくどく、心臓がうるさい
やっと、木陰からちらりと覗いたベンチに、
君の姿は、なかった。
一気に身体中から抜けていく力
へたり込むようにベンチに座って、腕時計を見る
いつもの時間、過ぎてるのにな。
もしかしたら、今日も居残りかもしれない。と、
無理矢理いい方に考えて、私はそこで、君を待つことにした
だけど、待っても、待っても。
どれだけ待っても、
海人は、来なかった。
そこでどれくらい待ったかわからない
突然、ケータイが震えて、
画面上に表示された、君の名前
「ごめん、今日は会えない」
ただ、それだけのメッセージ。
わかってた、わかってたんだ。
君は今日、来ないって。
だけどもしかしたら、って。
そう、思ってしまっていた。
ケータイの画面をそっと消して、目を閉じる
そのままベンチに身体を預け、夏に沈み込もうとした
それなのに、
浮かぶのは、遠い日の彼の笑顔
こんな状況だっていうのに、
海人じゃなくて、どうして彼のことを想うの。
自分が、許せなくて
もしかしたら海人もそうなのかな、そう思うと怖くて
沈み始めた太陽
心の奥が、ずきずき痛んだ
「………どうしたら、いいのかな。」
久しぶりに、ひとりきりで終える一日
ひとりには、慣れていたはずだったのに。
君の温度が、
こんなにも、恋しい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 428人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩愛(プロフ) - かいとんさん» ありがとうございます！お読み頂けて光栄です！またよろしくお願いいたします^^ (2021年3月19日 15時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - 完結おめでとうございます！凄く暖かくわくわくする物語でした。高橋担なので需要しかないお話でした……！これからも頑張ってください！ (2021年3月18日 23時) (レス) id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひまわりさん» お久しぶりです〜！お読み頂いてこちらこそありがとうございました！あまり出来に自信がないのですが、そう言って頂けて嬉しいですT_T 今後もどうぞよろしくお願いいたします！ありがとうございました！ (2021年3月12日 17時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - 詩愛さんお久しぶりです！以前リクエストさせて頂いた歌を基に物語を書いてくださってありがとうございます！！とっても嬉しいです！また海人くんの物語楽しみにしています！ (2021年3月12日 1時) (レス) id: 1474a1813f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2021年3月2日 14時
