君とひまわりと私 K.T (ページ9)

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勉強に疲れた頭をすっきりさせるのに、いつものベンチは本当にぴったりだった。

今日も私は、もやもやする気持ちをどうにかしたくて、

放課後、まっすぐにベンチへと向かう

真っ青に澄み渡った空は、私の感情とは正反対

はやくあの日差しを浴びたくて、半ば走るように、見えてきた桜の木々へと近付いた

そして今日もそこに、

制服姿の彼が、当たり前のようにいる。

ぼんやりと、遠くで遊んでいる小学生たちを見つめる横顔

それが寂しそうで、

ちょっとだけ、こっちまで切なくなる

「………あ、こんちは。」

しばらくそこで彼を見ていると、彼の方から気がついて声をかけてくれた

「………こんにちは、」

「となり、空いてるよ。座る？」

目を細めて、私に笑いかける彼は、

ぽんぽん、と2人掛けのベンチの横を叩いてみせる

「……いいんですか？」

「いや、ダメな理由とかさ。そんなの逆になくない？」

眩しく、その笑顔が日差しを浴びて、輝いた

「俺もここに居たい、君もここに座りたい。ならシェアするしかない、俺はね、そう思う」

だから、って手招きをする彼

それに惹き寄せられるように、私はベンチに近付いて、

「お邪魔します、」

「はいはーい」

楽しそうな彼の横に、そっと腰を下ろした。

だけどやっぱり、会話のない私たち。

なんとなくお互いを意識しているような甘酸っぱい空気が流れて、心がくすぐったい

沈黙が続いているのに、あたたかい日差しのおかげで、

とっても。居心地が良かった。

「………太陽、好き？」

するとひだまりの中、突然私に向かってそんな質問をする彼

急なことで、うまく返事ができなくて、

「えっと、太陽、好き？だと思います、」

「そっか。だよね、なんかそんな気した！」

だけどそんな私のたどたどしい言葉を、彼はきちんと受け止めてくれる

緊張しているのが馬鹿馬鹿しくなるほど、彼はリラックスして見えた

「ここ、いいよね。俺も結構太陽好きでさ、よくここでい～っぱい、日差し浴びてて。」

「………はい、」

「最近君もよく来るから、もしかしたら太陽、好きなのかなぁって。思ったわけです」

彼はふふふっと柔らかく微笑む

その笑顔が、なんだか懐かしい

この感覚、いつも感じるこの感覚はなんだろう。

「じゃ！そろそろ俺は帰るね。」

「あ、はい」

やがて日が沈み、今日が終わる

何かが、動き出す気がした。