君とひまわりと私 K.T (ページ49)

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君と出会って、二回目の梅雨

放課後、傘を畳んで電車に乗り込む。

たまたま空いていた目の前の席に、座ると、

だんだんと、意識が遠のいていった。

また、あの日の彼の夢を見た。

一緒に作った、砂のお城

ふたりで滑った、小さな滑り台

私の手にぽとりと落とされた、小さなお守り

あの頃の私に、大切な気持ちを教えてくれた、

あの日の、彼の夢を。

がくんと電車が揺れて、はっと目を覚ます

慌てて外を見れば、もう地元の駅

急いで立ち上がって、電車を降りて、

ふと、ポケットの中のお守りを握りしめた。

会いたいな、彼に。

海人が待っているはずの公園に向かって歩きながら、

私の心の中は、あの日の彼で、いっぱいになる。

大切な何かに気がついていないような、

小さな違和感を、どこかに残したまま。

「海人」

「あ、おかえり。」

君は今日も、先にそこに居た。

眩しい笑顔が、降り続ける雨とは正反対

手招きをされて、ゆっくりと、

君の大きな傘の下に、入り込む。

「海人の傘、やっぱり大きいね」

「傘の大きさは、持ち主の心の広さに比例しています。」

「はじめて聴いたよ、そんなの」

至近距離で、楽しそうに笑う君

その笑顔をそっと見上げてみると、

心の奥、どこか深いところで、

何か、小さな風船が弾けたような感覚。

ぱちんと音を立てて、

あたたかくて、だけど切ない何かが、

どろりと全身に、溢れ出してくる。

ポケットの中のお守りが、ずしりと重くなったような気がした。

「A？どしたの」

「………え？私今、」

「なんかすごい顔してたけど」

一瞬、何かに呑まれそうになった自分の心

慌てて海人と目を合わせるけど、

海人の方は、不審そうに私のことを見ていた。

「A、気がついてる？」

「……何？」

「たまにね、Aはそうやって、遠い目で何かを見てる。」

君に聴かされたのは、

私が君に感じていたのと、まったく同じこと。

「………ひとりでいろいろ。抱え込まないでね。」

「うん、ごめんね海人」

「別に謝ることじゃないよ」

海人の言葉、視線、表情

それから私の気持ち、体温、心拍数

なぜかすべてに違和感を感じてしまって、

思わず君から、目をそらした。

私たちは、まだお互いに、

一番大切なことを、分け合っていない。

そんなことに気がついた、雨の日の放課後。