君とひまわりと私 K.T (ページ40)

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そして、秋がやってくる。

クローゼットから出したマフラーは、久しぶりに太陽を浴びて嬉しそう

なんだかちょっとわくわくしながら放課後、私はいつものベンチに向かっていた

桜の木々たちも、もうあっという間に枯葉が目立つようになってきていて、

君と出会った春とは、かなり景色が変わっている

「海人、おまたせ」

「あ、Aお疲れ様！……あれ？」

声をかければ、ベンチに座ってケータイをいじっていた海人が、顔を上げて、

私のことをじっと見つめた

「どうしたの？海人……あ、」

不思議に思って首を傾げた瞬間、

海人の首元に巻かれているマフラーが、目に止まる

「………まただ、A、」

「もしかして私のと、色違い…？」

「え、だよね？やっぱ色違いだよね？？」

赤いチェック柄の、私のお気に入りのマフラーは、

海人の青いチェックのマフラーと、同じデザインで。

「………海人と、おそろい。」

「ね、おそろいだ。さすが俺たち」

顔を見合わせて、笑顔が溢れる私たち

一緒に座ったベンチは、少しだけ、冷たくなっていた。

「Aはさぁ、秋って好き？」

しばらく話していて訪れた沈黙の中、海人はそんなことを聞いてくる

君は少しだけ寒そうに、マフラーに顔を埋めた

「秋……嫌いじゃないけど、ちょっといつも寂しくなっちゃう。」

人肌の恋しい季節。

君に返事をしながら、また無意識にポケットの中のお守りを握りしめる

「わかる。なんかさぁ、なんて言うんだろ。切なくなるよね。」

「そうなの。もしかして、海人も？」

「うん、俺もそう。」

君はそう言って、またいつかのように、

寂しげな横顔で、空を見上げた。

「………俺も、もう会えない人のこととか、よく思い出したりしてる。」

泣いてしまいそうな空を映した、その青い瞳

会えない、人。

ねえ海人。君は、その会えない人に、

今どんな想いを、抱いているの？

「………あ～、ごめん！なんか変な話だね、やめよっか。」

「ううん。私もわかるよ、海人の気持ち」

切なさを誤魔化して笑う君

だけど私も、本当にその心がわかるの。

「私も昔大切だった人のこと、思い出したりするから。」

「……Aも？」

「うん、もう会えないかも、しれないんだけどね。」

「そっか。なんかまた、俺らの共通点だね」

「そう、だね」

海人は、それ以上

その話をしようとは、しなかった。