君とひまわりと私 K.T (ページ36)

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それから文化祭が始まるまで、なかなか会えない日が続く

その間に私の学校の文化祭も、準備が進んでいった。

ここ最近、クラスメートと少し話すことができるようになってきた私

飾り付けの案を出しながら、だんだんとクラスで疎外感を感じなくなってきて

今までぼんやりと過ごしていた毎日が、少しずつ。

明るく、光に照らされ始めた。

文化祭が近付いたある日の放課後

海人からの連絡を受けて、あのベンチに早歩きで向かう

「海人、久しぶり！」

「お～！A！待ってた待ってた。座ろ？」

遠くから呼べば、嬉しそうな表情で振り返ってくれる、大切な君。

駆け寄ってそのとなりに座れば、もうここからは、

ふたりきりの、小さな世界。

「ほんと久しぶりだね。なかなか準備で忙しくて、ごめんね」

「ううん、私も同じだから大丈夫！」

「どう、文化祭。楽しめそ？」

海人は甘く微笑みながら、私の顔を覗き込む

その視線に心がくすぐられて、心臓が甘酸っぱく震えた

「うん、今のところいい感じ」

「え、ほんとに？馴染めてきた？」

「そうなの、ちょっとずつ話もできるようになって」

「おお！まじか！すごいじゃん」

「あのね海人、ほんとに、」

ありがとう。

そう続けようとしたその時、

海人の手がそっと私の顔に向かって伸びてきて、

思わず、口を閉じる

ゆっくり、ゆっくり。

時間の流れがスローモーションに変わって、

君の指先が、壊れそうなほど儚く、

私頭の上にふわりと、乗せられた

「………良かった。ほんとに」

そう呟きながら、そのまま、

ぽんぽんと手を弾ませる海人

優しく包み込むようなその笑顔が、

また私の世界を、光でいっぱいにしてくれるんだ。

「…………海人、ありがとう。」

「俺、特になんもしてないけどな！」

「そんなことないの。本当に」

「ふはは、そう？」

私の髪の毛にそっと指を滑らせる君は、

楽しそうに、幸せそうに。

今という時間を、ふたりきりのひだまりを。

こんなにも離れがたい瞬間へと、変えていく。

「Aの文化祭、当日まであとちょっとでしょ？」

「そうだよ」

「とにかく楽しめ！俺はそれが、一番だと思う。」

「ふふ、ありがとう。楽しむね」

頷いた私をぐっと見つめてから、

俺も文化祭楽しむからさ！って空を見上げる海人

その横顔を、

何よりも愛おしく、感じてしまった。