君とひまわりと私 K.T (ページ31)

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肩を並べて歩く私たち

暑いはずの日差しも、私たちに味方してくれているみたいに、あたたかい。

「ずっとタイミング逃してたんだけど、俺Aと、ゆっくり話したかったんだよね」

しばらく歩いていくと、海人がそんなことを言い出す

ちょっとだけその顔は、真剣だった。

「だから。いろいろ質問していい？」

「いいよ、」

たしかに私たちは、お互いのことをあまりよく知らない

優しい君は、まっすぐ私に、向き合ってくれようとしていた。

「じゃあ一個目ね。Aの学校って、どこ？」

「5駅くらい先の、駅降りてすぐにあるところ。」

「え、そこってあれ、偏差値結構高くない？」

「あ、うん、」

苦笑いした私の表情をうかがいながらも、海人はびっくりしたみたい。

「もしかしてだけどさ。Aって、あそこの進学クラス……？」

「……よくわかったね、まあ一応、ね」

「あ、そうなんだ。すげえ」

全然すごくなんてない。

少なくとも、今の私は。

その後も私たちはいろいろな話をした

引越しのこと、友達がいないこと、学校が楽しくないこと。それから、

「……ちょっと、疲れてきちゃってて。」

私が今、悩んでいることも。

海人は、う～んそっか。と視線を落とす

こんなこと君に、言いたくなかったのに。

あまりに君が優しすぎて、つい言ってしまった

「……ごめんね、こんな話」

「ううん、俺はAのこと知りたいって言ったでしょ、だから嬉しいよ。」

「そう？」

「うん。Aのことなら、なんだって知りたい。」

その笑顔が優しくて、また泣きたくなってしまう

やがて君はゆっくりと、話し始めた

「……ねえ俺は正直、Aと同じ学校じゃないし、家族でもないから全然詳しいことはわかんないけどさ」

「うん、」

「きっと今まで大変だったと思う。勉強とか、引越しとか。だけどそれ全部乗り越えて、俺とこうして出会ってくれたんでしょ？」

「………」

「それってすっごい尊いことだよ。それにさ、悩んでるってことは、今めちゃくちゃ努力してるってことだと、俺は思う。」

溶けていく、染まっていく、

君の、あたたかさに。

「だから自分のことを、全然だめだ～とか絶対思わないで。」

「こうやってAがここに居てくれてる。それだけで幸せになれる人がいるんだってこと、俺が教えてあげるからね」

ゆっくりと見上げた君の瞳には、

また私だけが、映っていた。