君とひまわりと私 K.T (ページ4)

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次の日の放課後も、私はあのベンチへと向かう

息の詰まる電車から降りて、何かに期待しながら街の中を歩いた

昨日の彼、私と同じで、日光浴してたのかな。

とっても素敵な場所だし、そういう人がいても何もおかしくない

ちょっと明るい気持ちになりながら、遊んでいる小学生の中を進む

公園のはずれ、今日も桜が綺麗に咲いている私のお気に入りの場所は、

見ているだけでも、心がほっとあたたまる

まるで癒しを求めに来る人たちを、歓迎しているみたいだった

ゆっくりと木々の間をぬって、ベンチに近付いていく

すると、今日もそこに、彼は居た。

やっぱり私の知らない制服に身を包み、

長い足を伸ばしてそこに座っていて、

だけど昨日と少し違うのは、彼の目がきちんと開いていること。

その大きい瞳は、少しだけ寂しそうに、

ぼんやりと、空を見上げていた。

近くで見たわけじゃない。遠くからこっそり見ただけだけど、

その瞳の色の深さに、私はハッと息を飲む。

すごく、綺麗。

思わず高鳴ってしまった心に戸惑い

私はまた、こっそりとその場から離れた

その次の日は、学校で小さなテストがあった。

返ってきた私の結果は、まずまず。

だけど進学クラスにはそれ特有のギスギスした空気があって、

クラスメートたちは常にお互いを、ライバルとして見ている

テストの点を探り合ったり、相手を常に蹴落とそうとしていたり。

正直私は、進学クラスのそういうところが苦手だった。

放課後になって、急いで学校を飛び出す

何も考えずに電車に乗って、最寄り駅で降りて。

足が勝手に、いつもの公園に入っていく

今日も優しく笑いかけてくれた桜たちを見て、私はやっと一息つけたような気がした

木々の間、いつものベンチ

今日はそこに、誰も座っていなかった

彼、いないんだ。

ちょっとだけ肩の力が抜けて、自分がいつの間にか身構えていたことに気がつく

でも、彼が居たら居たで気を使うし、今日は居なくて良かったかもしれない。

ベンチにそっと腰を下ろして、桜の花たちの間から降り注ぐ日差しを、思う存分に味わった

やっぱり、ここの太陽は他のところよりもあたたかい気がする

しばらくそこで太陽を独り占めしていると、

いつもの彼が、こちらに向かって歩いてくるのが見えた

あ、来ちゃった。

急にどきどきし始めた私は、

また今日も急いで立ち上がって、逃げるようにそこを離れた。